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鼻がのどに流れる


後鼻漏(こうびろう)|鼻水がのどに垂れる感じの正体と対策

後鼻漏とは
夜、横になるとのどの奥に“ぺったり”何かが張りつく。朝は痰がからみ、日中は咳ばらいが増える——こうした「鼻水がのどへ回る感じ」を後鼻漏(こうびろう)と呼びます。
鼻や副鼻腔では、ほこりや病原体を洗い流すために1日1~1.5Lほどの透明な分泌液が作られ、自然にのど側へ流れます。少量がさらっと流れるのは正常ですが、量が増える・粘りが強い・においがあると不快感や咳、口臭の原因になります。


なぜ起こる?(仕組み)
鼻腔と副鼻腔は小さな通路でつながり、粘膜の腫れや分泌の増加があると、粘りの強い分泌液が後方(上咽頭)に溜まって流れやすくなります。
さらに、のどの筋の反射や咳受容体が刺激され、咳・違和感・声のかすれなどが生じます。

よくある原因
アレルギー性鼻炎・血管運動性鼻炎
花粉やダニなどで透明でサラサラの鼻水が増え、のどへ回ります。
冷気・香料・辛い物・気圧差などでも似た症状が出ることがあります。(血管運動性鼻炎)
副鼻腔炎(蓄膿症)
細菌などが関与すると黄色~緑色でねばつく鼻水(膿性)となり、悪臭・咳(朝や夜間)・頬や眉間の重だるさを伴うことがあります。

上咽頭炎
鼻の突き当たり(上咽頭)の炎症。べったり貼りつく感じやのどの違和感が長引きます。
その他
鼻茸(ポリープ)・鼻中隔弯曲症などの構造的問題、乾燥や口呼吸の習慣も後鼻漏を悪化させます。乳幼児では鼻の異物が片側だけの臭い鼻水の原因になることがあります。

当院で行う検査
視診・内視鏡
症状の出方(片側/両側、季節性、におい)、既往や環境を伺い、鼻鏡・細径内視鏡で鼻腔~上咽頭まで丁寧に観察します。
画像・機能検査
副鼻腔CTで粘膜の腫れ・膿の貯留の程度・部位、通路の狭さを評価します。
アレルギー検査
指先からの微量採血で41項目など、原因アレルゲンを特定し、治療の優先順位を決めます。

治療(原因と生活に合わせて)
内服・点鼻治療
抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬・ステロイド点鼻などを組み合わせます。
副鼻腔炎が疑わしければ抗菌薬・去痰薬を追加します。
血管収縮薬入り市販点鼻の長期連用は薬剤性鼻炎の原因になるため、計画的に中止・切替を行います。
鼻洗浄(鼻うがい)
多くの症例で有効な管理方法です。0.9%の生理食塩水を人肌に温め、やさしく洗い流すと粘液・アレルゲンを低減できます。真水はしみるため避けましょう。
生活の見直し
加湿・こまめな水分・就寝前の温シャワー(蒸気)・マスクで乾燥予防。胃食道逆流が疑わしければ就寝直前の飲食を控える・枕を高くするなども有効です。
手術が必要な場合
鼻茸(ポリープ)、鼻中隔弯曲症、難治の慢性副鼻腔炎では内視鏡下手術や鼻中隔矯正術、下鼻甲介手術を検討します。お子さまはアデノイド肥大が後鼻漏・鼻づまり・中耳炎の一因になるため、内視鏡で評価します。

受診の目安
高熱・強い顔面痛/頭痛、悪臭のある片側性、黄色~緑色が長引く、夜間のせき込み、眠れないほどの鼻づまり、再発を繰り返す中耳炎や副鼻腔炎、乳幼児で授乳・睡眠に支障がある場合は、早めの受診をおすすめします。

Q&A
Q. 透明でサラサラでも後鼻漏ですか?
A. はい。量が多い・季節や環境で繰り返すならアレルギー性鼻炎などが背景にあることが多いです。目のかゆみ・くしゃみの有無もヒントになります。
Q. 黄色いベタベタがのどに張りついて咳が続きます。
A. 副鼻腔炎の関与が疑われます。悪臭・朝晩の咳があれば早めにご相談ください。必要に応じてCT画像検査や細径の内視鏡を用いて評価します。
Q. 鼻うがいや点鼻薬はしみて苦手です。
A. 0.9%生理食塩水を人肌にして、勢いをつけずに行えば痛みを押さえられます。真水はしみるので避けましょう。点鼻ステロイドも霧の細かい製剤を選ぶと刺激が少ないことがあります。
Q. 市販の点鼻で一時的に楽になります。続けてOK?
A. 血管収縮薬(オキシメタゾリン、トラマゾリン、フェニレフリンなど)の長期連用はNGです。難治性の薬剤性鼻炎で余計に最終的に鼻詰まりが治らなくなってしまう原因になります。ステロイド点鼻・抗アレルギー薬へ計画的に切替を行います。
Q. 口臭が気になります。後鼻漏と関係ありますか?
A. 膿性の後鼻漏や副鼻腔炎では口臭の原因になり得ます。鼻処置、ネブライザー、抗炎症治療、鼻洗浄などで改善が期待できます。

まとめ(院長からのメッセージ)
後鼻漏は、正常な人でも生理的に見られるものですが、のどに流れ込む鼻水の量や性質が病的となってしまった状態です。背景にはアレルギー、感染、など一人ひとり違う理由があります。
基幹病院で培った経験をもとに、内視鏡やCT画像を用いて原因を見極め、一人ひとりにあった治療をご提案いたします。
「のどに張りつく感じ」「咳ばらいが続く」「においが気になる」——小さな違和感でも構いません。どうぞ気軽にご相談ください。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
