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せき・痰が出る


せき・痰が出る|「風邪かな?」で済ませないために知っておきたいこと
せきは気道の異物や分泌物を外へ出すための大切な反射です。とはいえ、夜に止まらないせきや粘る痰が続くと、眠れない・仕事や学業に集中できないなど生活の質を大きく下げてしまいます。
ここでは、せき・痰のしくみ、よくある原因、受診の目安、当院でできる検査と治療をわかりやすく解説します。

- せき・痰が出る|「風邪かな?」で済ませないために知っておきたいこと
- せき・痰の基本
- どんなタイプのせき?目安になる見分け方
- 急性(発症から3週間以内)に多いもの
- 遷延(3〜8週間)・慢性(8週間以上)に多いもの
- 喘息(ぜんそく)・咳喘息について
- 当院の対応
- 気道異物(誤嚥・誤飲)に注意
- こんな時はすぐ救急要請!
- 当院で行う検査
- 小児のせきで気をつけたいこと
- 日常でできるセルフケア
- Q&A
- Q. 夜だけ咳が強く、朝方に悪化します。喘息でしょうか?
- Q. 喘息の吸入(吸入ステロイドなど)はいつまで続けますか?
- Q. 喘息はどうやって診断しますか?
- Q. 吸入薬の使い方を教えてください。
- Q. 後鼻漏って治るの?
- まとめ(院長からのメッセージ)

せき・痰の基本
せきは「気道の掃除機」のような働きをしてくれています。のど(咽頭)から声帯、気管・気管支にかけて炎症や刺激があると、反射的に空気を勢いよく吐き出して異物や分泌液を取り除こうとしているのです。
痰は気道の粘膜が分泌する液に、炎症細胞や細菌・ウイルス、ほこりが混ざったものです。鼻の奥からの分泌液がのどへ回る後鼻漏(こうびろう)でも、痰が増えたように感じます。
ポイント:せきは体の防御反応。むやみに「止める」よりも、原因を見極めて整えることが大切です。

どんなタイプのせき?目安になる見分け方
急性(発症から3週間以内)に多いもの
かぜ・急性咽頭炎/喉頭炎:のどの痛みや声枯れ、発熱を伴うことがあります。
急性副鼻腔炎:黄色〜緑色の鼻水や後鼻漏で、寝る前・朝方にゴロゴロとせき込みやすいのが特徴です。
急性気管支炎:ゼーゼーせずとも、強い乾いたせきが主になることもあります。
(小児の)気道異物(後述):突然のむせ・咳込み、以後の持続するせきや片側の喘鳴に注意です。
遷延(3〜8週間)・慢性(8週間以上)に多いもの
アレルギー性鼻炎・後鼻漏:透明〜白色の分泌液がのどへ回り、刺激性のせきになります。色つきの痰=細菌とは限りませんが、発熱や顔面痛、悪臭のある痰が続く場合は細菌感染(副鼻腔炎など)を考えます。
咳喘息(せきぜんそく)/気管支喘息:ゼーゼーが目立たず夜間・早朝にせきが長引くこともあります。
胃食道逆流症(GERD):食後や就寝時にこみ上げる感じ・胸やけとともにせきが出ます。
薬剤性(降圧薬:ACE阻害薬など):乾いたせきが続くことがあります。
喉頭アレルギー、慢性咽喉頭炎:のどのイガイガや異物感が先行することも。

喘息(ぜんそく)・咳喘息について
気管支喘息は、気道が過敏になり炎症で狭くなる病気。ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴や、夜間・明け方のせき込み、運動や冷気・花粉・ダニ・ウイルス感染をきっかけに悪化するのが特徴です。
咳喘息は喘鳴がはっきりしない一方、8週間以上の乾いたせきが続きやすく、放置すると気管支喘息へ移行することがあります。
当院の対応
上気道(鼻・のど)炎症の評価を行い、後鼻漏・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎をしっかりコントロールします。喘息が疑われる場合は、吸入ステロイド薬/気管支拡張薬などの標準治療導入と継続管理を行います。
鼻の炎症を整えることは喘息の安定にも有利です。

気道異物(誤嚥・誤飲)に注意
ピーナッツ・枝豆・飴・小さなおもちゃなどが気管・気管支へ入ると、突然の強い咳・むせ、以後の片側だけのゼーゼー、発熱のない慢性のせきにつながります。入った直後に落ち着いてしまっても、遅れて肺炎や無気肺を起こすことがあります。乳幼児は特に注意が必要です。
こんな時はすぐ救急要請!
呼吸が苦しい、唇が紫、声が出ない・泣けない
突然むせて以降、せきが止まらない・片側でヒューヒュー
誤飲の目撃がある/その可能性が高い

当院で行う検査
視診・内視鏡検査:細径スコープで鼻腔〜上咽頭〜喉頭まで観察し、後鼻漏や声帯炎・ポリープの有無を確認します。
鼻副鼻腔の画像評価:副鼻腔炎が疑わしければ副鼻腔CTで炎症範囲を確認します。
アレルギー検査:指先からの少量採血で主要アレルゲンを同定します。
喘息が疑われる場合:呼吸機能評価などで評価し、適切な吸入治療を行います。

小児のせきで気をつけたいこと
鼻水→後鼻漏→夜間のせき込みが非常に多い。長引く場合はアデノイド肥大や反復性副鼻腔炎の評価を行います。
犬が吠えるような咳(ケンケン)はクループ症候群を疑い、早期受診をお願いします。
ピーナッツ・豆・飴・小物の誤嚥に注意。むせた直後に落ち着いても数日後に発熱や片側喘鳴が出ることがあります。
喘息が疑われる場合は、家のダニ対策・受動喫煙の回避など環境整備も重要です。

日常でできるセルフケア
加湿と保温:室内湿度50〜60%を目安に。就寝時のマスクも有効です。
鼻洗浄:0.9%食塩水を人肌に温めて優しく行ってください。
たばこを避ける:喫煙・受動喫煙は気道の炎症を悪化させます。
小児の食べ物は月齢・形状に配慮し、ナッツ類は誤飲すると命に関わります。就学前は特に注意してください。

Q&A
Q. 夜だけ咳が強く、朝方に悪化します。喘息でしょうか?
A. 咳喘息や気管支喘息のパターンに合致します。アレルギー鼻炎・後鼻漏の関与も多いため、鼻との同時治療が有効です。必要に応じて吸入治療を含めた投薬を開始します。
Q. 喘息の吸入(吸入ステロイドなど)はいつまで続けますか?
A. 症状が落ち着いても、気道の炎症はしばらく残るため、自己判断で中断せず医師の計画で継続するのが基本です。
一般に、昼夜の症状・運動時の症状がなく、夜間覚醒や救急受診もなく、レスキュー吸入(頓用)の使用が少ない状態が少なくとも3か月以上続いたら、医師と相談のうえ段階的に減量(ステップダウン)を検討します。季節性の悪化(花粉、かぜ流行、梅雨・冬)や職業曝露がある方は、悪化期の前に減らしすぎないことが大切です。
Q. 喘息はどうやって診断しますか?
A. くり返すせき・ゼーゼー(喘鳴)・息苦しさが、夜間・明け方や運動、冷気、かぜ、花粉などで増悪・寛解を繰り返す症状のパターンに加えて、気流制限の可逆性(治療などで空気の通り方が改善するかどうか)を確かめる検査で診断します。
スパイロメトリー:気管支拡張薬の前後で呼吸機能が改善するかを確認。
呼気NO(一酸化窒素):気道炎症の強さの目安。
ピークフロー:朝夕の変動(可変性)を自宅で記録。
治療反応性:吸入ステロイド(ICS)などで症状・数値が改善するか。
とくに、鼻〜気管はつながっていることから、喘息の診断・治療を行う上で、耳鼻咽喉科での上気道(鼻・副鼻腔)の炎症の有無を評価することは非常に重要です。
Q. 吸入薬の使い方を教えてください。
A. 機種でコツが違います。誤った手技は効果低下の大きな原因となるだけでなく、副作用のリスクを上げてしまいます。診察室で実演チェックしますが、以下のページに実際の吸入器別使用方法を動画でまとめています。
Q. 後鼻漏って治るの?
A. 多くは鼻炎・副鼻腔炎のコントロールで改善します。ステロイド点鼻やアレルギー治療、鼻洗浄を組み合わせ、原因を一つずつ整えます。

まとめ(院長からのメッセージ)
せき・痰は「よくある症状」ですが、背景は鼻・のどの炎症から喘息・逆流・異物までさまざまです。
当院では内視鏡による丁寧な観察、副鼻腔CT、アレルギー検査を組み合わせ、原因に合わせた最適な治療計画をご提案します。
「長引いている」「夜に辛い」——そんな時は、お一人で抱え込まずご相談ください。毎日の呼吸を、もっと楽にするためのお手伝いをさせていただきます。
記事監修

Itsuki Kitayama
大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
