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下痢


子どもの下痢
朝は元気だったのに、急に水っぽい便(下痢)が続く——おむつ替えのたびに心配がふくらみますよね。
子どもの下痢は、たいていはウイルス性胃腸炎などの一過性のものですが、脱水や感染の広がりに注意が必要です。このページでは、受診の目安やご家庭でのケア、治療の進め方を、わかりやすくご紹介します。

子どもの下痢とは?まず知っておきたいこと
医学的には、便の水分が増え形がなくなる状態を指します。乳幼児では、ノロウイルスやロタウイルスなどによる感染性腸炎が最も多く、発熱や嘔吐を伴うこともあります。
ロタウイルスでは水のような下痢・嘔吐・発熱・腹痛が典型で、治療は対症療法(補水)が中心です。感染対策ではせっけんと流水の手洗い、嘔吐物・便の適切な処理、塩素系消毒が有効です。(厚生労働省)

診察ではここを丁寧に確認します(当院の流れ)
受付で経過をうかがい、診察では下痢の回数・性状(粘液・血の有無)、発熱・嘔吐・腹痛、水分摂取と尿量、機嫌や顔色を総合的にみます。
必要に応じて尿・血液検査、腹部エコーを行い、細菌性腸炎や外科的疾患(腸重積など)を見逃さないよう評価します。飲めない場合は点滴で補液、外科的評価が必要なときは基幹病院と速やかに連携します。

こう見分けます——原因ごとの特徴
感染性腸炎(ウイルス・細菌)
ウイルス性は水様便が数日続き、嘔吐や発熱を伴うことがあります。
細菌性は高熱や血便、強い腹痛が出やすく、抗菌薬が必要になることがあります。
嘔吐物や便の処理は二次感染予防の要です。(厚生労働省)
乳糖不耐症・食物アレルギーなど
胃腸炎の回復期に乳糖が一時的に消化しづらくなり、食後に下痢が続くことがあります。食物アレルギーが関わると血便や嘔吐を伴うことも。診察で食事歴と症状の関連を丁寧に確認します。
腸重積・虫垂炎などの緊急疾患
間欠的に強い腹痛と嘔吐、いちごジャム状の血便は腸重積の危険なサインです。
右下腹部の持続痛・発熱は虫垂炎を疑います。
どちらも手術を要する場合もあり、早期対応が必要です。
受診の目安——こんなときは相談を
下痢が1日5回以上続く、嘔吐や発熱で飲めない、尿が少ない・涙が出ない、血便、ぐったりして元気がない、乳児で1日以上続く——こうした状況は脱水や重症化のサインです。判断に迷うときは早めに受診してください。

ご家庭でのケア——“飲める工夫”が回復を助けます
下痢のときに役立つのが経口補水療法です。吐いた直後は30〜60分休み、スプーン1杯を頻回に飲ませてみます。飲めるようになれば少しずつ量を増やします。落ち着いたらおかゆ・うどん・バナナなど消化のよいものから食事を開始してみてください。
下痢によっておむつかぶれが合併しやすいため、ぬるま湯でやさしく洗って乾かし、ワセリンなどで保護すると良いでしょう。
当院で行う治療
状態に合わせて経口補水の具体的な方法をご説明し、整腸剤の併用で回復を支えます。飲めない・ぐったりなど中等度以上の脱水では点滴治療を行います。
細菌性腸炎が疑わしいときは適切な抗菌薬を選択し、腸重積や虫垂炎が疑われる場合は小児外科と連携して迅速に対応します。
風邪など上気道症状を伴う場合は、必要に応じて院内耳鼻科の診察とも連携して、吐き気や後鼻漏の評価をワンストップで進めます。

Q&A
Q. 下痢でも食欲があります。受診は必要ですか?
A. 元気で水分もとれているなら、まずは経口補水液と消化にやさしい食事で様子をみてもかまいません。ただし3日以上続く、回数が多い、体重減少や血便がある場合は受診してください。
Q. 市販の下痢止めは使っていい?
A. 感染性の下痢では、腸がウイルスや毒素を外に出そうとしているため、止瀉薬は原則おすすめしません。医師が必要と判断した場合に限り使います。まずは補水が最優先です。
Q. おむつかぶれがつらそう。どうしたら?
A. 下痢の時期は肌が荒れやすくなります。おむつ替えごとにぬるま湯でやさしく洗い、しっかり乾かし、ワセリンなどで保護しましょう。症状が強いときは炎症を抑える外用薬を処方します。(公益社団法人日本皮膚科学会)
Q. 登園・登校の再開はいつから?
A. 発熱がなく、嘔吐が止まり、水分・食事がとれて元気であれば目安になります。感染性が疑われる場合は、家庭内でも手洗い・トイレやドアノブの消毒を続けましょう。(厚生労働省)

まとめ(院長より)
下痢はよくある症状ですが、脱水と重い病気のサインを見逃さないことが何より大切です。どんな小さな不安でも、ためらわずにご相談ください。ご家庭のケアが続けやすいように、具体的な方法を一緒に考えていきましょう。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
