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耳がつまる


耳がつまる(耳閉感)|「ボワーン」「ふたをした感じ」が続くときに

耳閉感とは
静かな部屋で急に耳にふたをしたような感じ、水が入ったときのようなボワーンというこもり、声が自分の頭に響く自声強聴。こうした違和感をまとめて耳閉感(じへいかん)と呼びます。
原因は外耳・中耳・内耳のどこにでも起こり、数分で自然に治ることもあれば、めまい・耳鳴り・痛みを伴って受診が必要なこともあります。


原因としくみ
外耳が原因の耳閉感
耳の穴から鼓膜までの外耳道のトラブルで起こります。代表は耳垢(みみあか)の栓(耳垢栓塞)や、耳かきの先・シャンプー泡・水などの異物。外耳道の皮膚が腫れて狭くなる外耳炎でもこもります。サーフィンなどの冷え刺激で骨が隆起し穴が狭くなる外耳道外骨腫(サーファーズイヤー)も原因になります。
中耳が原因の耳閉感
鼓膜の奥の中耳は、鼻の奥と耳管(じかん)でつながり、気圧を調整しています。風邪やアレルギーで耳管の周囲がむくむと狭くなる(耳管狭窄症)、逆に開きっぱなし(耳管開放症)でもこもりや自声強聴が出ます。
中耳に液体がたまる滲出性中耳炎も典型です。飛行機や山道・潜水などの急激な気圧変化で起こる航空性中耳炎では痛みや難聴を伴うことがあります。
内耳が原因の耳閉感
内耳(蝸牛)の機能が一時的に乱れると、低音が聞き取りにくい型の難聴や耳鳴りを伴って耳がつまります。代表は急性低音障害型感音難聴、メニエール病、突発性難聴などです。金属音が耳ざわりに感じる聴覚過敏が同時に出ることもあります。

片耳が「突然つまって、すぐ治る」現象について
入浴中に耳垢が水で膨らんでふさがる、飛行機やエレベーターで耳管が一時的に閉じる——こうした場面では、あくび・つばを飲む・耳たぶを軽く引いて水抜きなどで短時間に改善します。これは生理的なことも多く、痛みや発熱が無ければ大きな心配はいりません。
一方で、耳鳴りを伴って片耳が急にこもる、めまいを同時に感じる、何度も繰り返す場合は、突発性難聴やメニエール病など内耳の病気が隠れていないか確認が必要です。発症早期ほど回復しやすいため、迷ったら早めに受診しましょう。

当院での診断
まず問診で「いつ、どちら側で、どんなきっかけで、どのくらい続くか」を丁寧に伺います。耳鏡・細径内視鏡で外耳道と鼓膜を確認し、必要に応じて耳垢除去を行います。
聴力検査で難聴の有無と型を評価し、ティンパノメトリーで鼓膜の状態を検査します。内耳性が疑わしければ耳音響放射(OAE)などを追加し、片側性で増悪や拍動性があれば画像検査(必要時)で解剖学的な異常や腫瘍の有無などを確認します。

治療とケア
外耳が原因の場合
耳垢や異物は専用器具で安全に除去します。外耳炎には洗浄・点耳薬・外用薬で炎症を抑えます。耳かきのしすぎは禁物です。
中耳が原因の場合
耳管狭窄症は鼻炎の治療・通気訓練、滲出性中耳炎は炎症コントロールと経過観察、必要に応じて鼓膜切開などの処置を検討します。
航空性中耳炎は鎮痛と減圧ケア、次回以降は予防の耳抜きを指導します。
耳管開放症では体重・水分・鼻の保湿や症状に応じた処方を行います。
内耳が原因の場合
急性低音障害型や突発性難聴では早期の内服治療が回復率を高めます。メニエール病は内リンパ水腫のコントロールと生活調整(睡眠・ストレス・塩分)を組み合わせます。

受診の目安
強い耳痛や発熱、耳だれを伴う、片側で突然の難聴が出た、耳鳴りやめまいを同時に感じる、拍動に同期するこもりがある、数日以上続く・繰り返す——こうした場合は早めの受診をおすすめします。

Q&A
Q. 片耳が急にこもって数分で戻りました。受診は必要ですか?
A. 入浴や気圧変化の直後で、耳抜きで改善した一過性のこもりは経過観察で良いことが多いです。ただし自覚症状が乏しくても、実は難聴が続いているということも多々あります。特に、耳鳴りやめまいを伴う、繰り返す、翌日も続く場合は受診をお勧めします。
Q. 自分の声だけ響いて気持ち悪いです。
A. 耳管開放症で起こることがあります。体重減少や脱水、鼻の乾燥が背景にあることがあります。まずは耳鼻咽喉科での耳管機能検査を含めた精密検査を行ってみましょう。
Q. 飛行機の度に耳が激しく痛みます。予防できますか?
A. 離着陸前から耳抜き(つばを飲む、ガム、飴)、鼻炎のコントロールが基本です。時に事前の点鼻薬が有効なこともあります。強い痛みを繰り返す方は診断のうえ個別に対策します。
Q. 低い音が聞き取りにくく、「ボー」っという耳鳴りもあります。
A. 急性低音障害型感音難聴やメニエール病が疑われます。早期治療ほど回復しやすいため、お早めに聴力検査を受けてください。

まとめ(院長メッセージ)
耳がつまる感覚は、外耳・中耳・内耳のどこでも起こり得る“サイン”です。
基幹病院で、耳管疾患から突発性難聴・メニエール病まで幅広い症例を診察した経験を元に、細径内視鏡・聴力検査などで原因を見極め、耳垢除去から早期の内服治療、補聴器の調節まで一人ひとりに合わせてご提案します。
“いつもと違う”耳閉感は早めのご相談が安心への近道です。お気軽にご相談ください。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
