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顔が痛い


顔が痛い(頬・目の奥・おでこが痛むとき)
朝起きたら頬がズキズキ、前かがみになるとおでこが重い――そんな顔の痛みは、鼻の奥にある「副鼻腔」の炎症(副鼻腔炎)が原因のことがよくあります。
ほかにも歯や顎関節、唾液腺(耳下腺、顎下腺)、神経(三叉神経)、帯状疱疹などが関わる場合も。
ここでは耳鼻咽喉科でよく出会う原因と、当院での診断・治療の流れをわかりやすくご説明します。

顔面痛の主な原因(耳鼻咽喉科で多いもの)
急性副鼻腔炎
風邪のあと、黄色〜緑色で粘い鼻水や頬・眼の奥の痛み、前かがみで増悪する頭痛が出る病気です。多くはウイルス感染に続いて細菌が増えることで発症します。強い痛みや発熱、膿性鼻汁が続く場合は抗菌薬と鼻処置・去痰薬・点鼻ステロイド等を組み合わせて治療します。
慢性副鼻腔炎(長引く/再発をくり返す)
だらだらと続く副鼻腔炎のことを示します。鼻づまり・後鼻漏・においの低下に加え、鈍い顔面痛や圧迫感が続くことがあります。ガイドラインに合わせたマクロライドの少量長期療法を基本とし、必要に応じて、去痰薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、点鼻ステロイドなどを組み合わせます。重症例や再発例は内視鏡手術や生物学的製剤が検討されます(当院で適応を評価し、連携病院をご紹介します)。
歯性上顎洞炎(歯が原因の副鼻腔炎)
上の奥歯の虫歯・根尖病変・抜歯後などが原因で、片側の頬の痛みや口臭・片側だけの鼻水が目立ちます。レントゲンやCTで片方の上顎洞(頬の奥の空間)だけが白く写る所見を確認し、耳鼻科治療に歯科(口腔外科)治療をあわせて行うのが治癒の近道です。
耳下腺炎(おたふくかぜ など)
耳の前〜頬の外側の腫れと痛み、発熱が特徴です。ウイルス性(流行性耳下腺炎=おたふくかぜ)では対症療法が中心であり、細菌性の感染を疑うときは抗菌薬を使います。とくに、片側の唾液腺に強い圧痛や膿の混じる唾液があれば細菌性を疑います。
顎関節症
あごを動かすと痛い/口が開けにくい/カクッと音がする場合は顎関節症の可能性があります。負担のかかる噛み方や食いしばり、ストレスなどが関係します。まずは軟らかい食事・就寝時の食いしばり対策など生活指導を行い、必要に応じてマウスピース作成のため歯科口腔外科と連携します。
三叉神経痛
電気が走るようなピリッとした強い痛みが数秒〜数分、顔の片側に反復するのが典型です。歯磨き・洗顔・風が当たるなどの刺激で誘発されます。薬物治療(カルバマゼピンなど)で多くが改善しますが、画像で血管との接触などの原因を評価します。(画像精査にはMRI検査が必要な場合があります。その際は近隣の画像検診センターへ紹介いたします。)
顔面の帯状疱疹(ヘルペス)
片側の顔の痛み+水疱(ブツブツ)が出る場合は帯状疱疹の可能性があります。発症後できるだけ早期の抗ウイルス薬が大切で、特に眼の症状や顔面神経麻痺を伴う場合は特に早期の対応が必要です。

当院での診断の流れ
まず問診で痛みの部位・性質・誘因(前かがみ・咀嚼・風・冷気など)を伺い、細径の鼻内視鏡で膿性鼻汁や鼻ポリープの有無を確認します。
必要に応じて副鼻腔CTで副鼻腔の炎症範囲や歯根との関連を評価します。
歯が原因と考えられる場合は歯科(口腔外科)と連携し、神経痛が疑わしい場合はMRI画像精査や神経内科・脳神経外科へ迅速にご紹介します。

治療のポイント
副鼻腔炎では、点鼻ステロイドと去痰薬を基本に、状態に応じて抗菌薬を短期で併用します。慢性化・再発例ではマクロライド少量長期療法を1–3か月程度行うことがあり、鼻処置やネブライザーは症状緩和と再発予防に有効です。
歯性上顎洞炎は歯科治療の同時並行が重要です。
耳下腺炎は原因(ウイルス/細菌)で方針が変わります。
三叉神経痛は神経に刺激を与えると考えられている神経の過剰な興奮を抑える内服薬を、帯状疱疹は抗ウイルス薬を早期に開始します。

受診の目安と「すぐ受診」サイン
前かがみで増悪する顔面痛・膿性鼻汁・発熱が数日続く
片側だけの強い頬痛/歯の治療後から悪化
視力低下・眼の動きの障害・眼の周囲の腫れ(副鼻腔や腫瘍性疾患の眼窩合併症が疑われ、早急な対応が必要です)
水疱を伴う顔面の痛み(帯状疱疹は早期治療が重要です)
電撃痛が反復(三叉神経痛の可能性)

Q&A
Q. 風邪の頭痛と、副鼻腔炎の顔面痛の違いは?
A. 風邪の頭痛は全体にズーンと重いことが多いのに対し、副鼻腔炎は頬・目の奥・おでこなど場所がはっきりし、前かがみや踏ん張りで悪化しやすいのが特徴です。また、副鼻腔炎は膿性鼻汁や鼻づまりを伴うことも目印です。しかし、典型的な症状を来さない場合も多いため、油断せずに早期に耳鼻科受診をおすすめします。
Q. 片側の頬だけ痛いのですが、歯が原因かも?
A. 歯性上顎洞炎の可能性があります。上の奥歯の病変が上顎洞に波及すると、片側の頬痛・口臭・一側性の鼻汁が続きます。耳鼻科・歯科の両輪での治療が大切です。
Q. 何科に行けばいい? まず耳鼻科で大丈夫?
A. 多くの顔面痛+鼻症状は耳鼻咽喉科で初期診療が可能です。顎関節症が疑わしければ歯科口腔外科、三叉神経痛が疑わしければ神経内科・脳神経外科に速やかに連携します。

まとめ・院長より
顔の痛みは、同じ「痛い」でも原因はさまざまです。当院では、鼻内視鏡やCT画像検査を用いた丁寧な診断と、点鼻・内服・鼻処置を組み合わせた治療で、できるだけ早く日常の快適さを取り戻せるよう心がけています。歯科口腔外科・神経内科・脳神経外科など地域の基幹病院とも連携し、必要時は速やかにご紹介いたします。
顔の痛みでお困りのときは、どうぞ遠慮なくご相談ください。
※本文は患者さま向けに平易に記載しています。個別の症状・治療は年齢や基礎疾患によって変わります。気になる症状が続く場合はお気軽にご相談ください。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
