あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

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花粉症

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)|原因・症状・検査・治療

花粉症とは?

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が鼻や目の粘膜に触れることで起こるⅠ型アレルギーです。鼻ではくしゃみ・水様性の鼻水・鼻づまりが三大症状で、目ではかゆみ・充血・涙が典型的です。風邪と違い、1週間で自然に治らず、花粉が飛ぶあいだは症状が続くのが特徴です。
国内では近年、花粉症(とくにスギ花粉症)が増えており、若年層にも広がる傾向が報告されています。飛散が多い年・地域ほど症状は重くなりやすく、生活の質(QOL)や学業・仕事の集中力に大きな影響を与えます。

どうして起こる?(発症のしくみ)

花粉が体内に取り込まれると、からだはそれを“異物”と認識してIgE抗体を作ります。次のシーズンに同じ花粉が付着すると、鼻や目のマスト細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、くしゃみ・鼻水・かゆみなどが起こります。

さらに、症状がまだ弱い時期でも、粘膜では最小持続炎症(MPI)と呼ばれる軽い炎症が続きます。これが過敏性が進む原因となり、花粉シーズンが本格化すると強い症状につながります。

そのため、飛散直前からの“初期治療”が重要なんです。

原因となる花粉

日本ではスギ・ヒノキが代表的です。春だけでなく、イネ科(初夏)ブタクサ・ヨモギ(秋)などでも起こります。

最新の全国データで見ると、スギ花粉症の有病率は“学童から中年まで”が特に高く、10代〜50代ではおおむね40〜50%台に達します。

年齢別の有病率(スギ花粉症)

  • 0〜4歳:スギ花粉症はまだ少なく、ダニやハウスダストなどが原因の通年性アレルギー性鼻炎の方が多い時期です。

  • 5〜9歳約30%。この頃からスギ花粉症が目立って増え始めます。

  • 10代49.5%(約2人に1人)。若年層での増加が顕著です。

  • 20〜50代40%を超える有病率(多くの年齢層で40%を上回る)。※環境省の要約でも10〜50代は45%以上と整理されています。

  • 60代以降:有病率はこ中年層よりやや低下します。高齢化とともに有病率は緩やかに減するのです、

Matsubara A, et al. Epidemiological Survey of Allergic Rhinitis in Japan 2019(日耳鼻会報 123:485–490, 2020)

環境省『花粉症環境保健マニュアル 2022』

診断(当院の検査の流れ)

問診と視診

症状の特徴を丁寧にうかがい、鼻鏡や細径の内視鏡で鼻の中を直接観察します。似た症状の副鼻腔炎などがないかも同時にチェックします。

アレルギー検査

  • アレルギー血液検査(特異的IgE):原因花粉の推定に有用です。小量採血(指先)で行える簡便な検査であり、早ければ30分程度で結果をお伝えすることができます。

  • 鼻汁好酸球検査:綿棒で採った鼻汁を染色し、アレルギー性の炎症かどうかを判断します。

  • 誘発テスト:必要に応じて専門施設で行います(当院では通常施行しません)。

なお、アレルギー検査が陰性でも症状は典型的という方がいます。これは局所アレルギー性鼻炎(LAR)と呼ばれ、鼻粘膜だけでIgE反応が起きるタイプです。一般的な血液検査で陰性でも、鼻粘膜でのIgEや誘発試験で陽性となる場合があります(検査体制に限りあり)。

治療(当院での方針)

① 薬物療法(当院対応)

症状や生活背景に合わせて、第2世代抗ヒスタミン薬・鼻噴霧用ステロイド薬・抗ロイコトリエン薬などを単独または併用します。とくに鼻噴霧用ステロイド鼻づまりを含む全体のコントロールに有効で、初期療法にも適しています。

点鼻血管収縮薬や経口ステロイドなど、短期間での効果が強い薬剤に関しては、それぞれのリスクを孕んでいるため限定的な短期使用に留めます。

② 舌下免疫療法

アレルゲンを少量から舌の下に投与し、体質そのものを慣らす治療です。スギ・ダニが対象で、毎日内服・原則3〜5年の継続が必要ですが、症状の軽減・薬の減量・治療後の持続効果が期待できます。

(舌下免疫療法は、薬剤の供給状況によっては新規開始できない場合があります。)

③ 抗IgE抗体製剤(ゾレア®:準備中です)

標準治療を行ってもコントロール困難な重症のスギ花粉症で、年齢・IgE値・特異的IgEクラス、年齢などの条件を満たす場合に、注射で選択します。効果は期待できますが、適応や費用を丁寧に確認しながら判断します。

④ 手術治療(当院では未実施)

下鼻甲介レーザー後鼻神経(選択的)切断などは鼻づまりを主とした方で有効なことがありますが、術後管理を要するため、必要時は連携病院へ紹介します。

⑤ 生活の工夫(抗原回避)

飛散情報を確認し、花粉が多い日はマスク・眼鏡・帽子でガードし、帰宅時の衣類のはたき・洗顔・うがい洗濯物の部屋干しなどを徹底しましょう。衣類は毛羽立ちの少ない素材が望ましいです。

妊娠・授乳と花粉症

妊娠初期(〜妊娠4か月)は可能なら内服を控え、必要な場合は副作用の少ない薬を少量・短期で開始します。妊娠中期以降は、第二世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧ステロイド医師と相談のうえ選択します。授乳中の内服も種類を選べば可です。

よくある質問(Q&A)

Q. 花粉が飛ぶ前から薬を飲んだ方が良いですか?

A. はい。とくに毎年症状が強い方は、飛散開始の1週間ほど前から始めると、粘膜の最小持続炎症(MPI)を抑え、シーズン本格化時のつらさを軽減できます。

Q. 風邪との違いは?

A. 実は、耳鼻科医といえども鼻の初見や症状のみでどちらかを見極めることは非常に困難です。風邪は通常1週間前後で改善しますが、花粉症は飛散中ずっと続くのが典型です。鼻水はさらさらで、目のかゆみを伴うことが多いのもヒントです。

Q. お酒で悪化しますか?

A. はい。アルコールは血管拡張ヒスタミン放出を促し、鼻づまり・かゆみが強くなることがあります。つらい時期は控えめにしましょう。

Q. 食べ物の注意はありますか?

A. スギ花粉症×トマトなど口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。現在症状がなければ過度な制限は不要ですが、食後の口のかゆみなどが出る場合は相談してみてください。

Q. 舌下免疫は子どもでも受けられますか?

A. 可能です。安全性が確立しており、継続(原則3〜5年)できる環境かを一緒に確認します。症状軽減・薬の減量・持続効果が期待できます。

Q. ヒノキの時期にぶり返すのはなぜ?

A. スギとヒノキは似たアレルゲンに加え、ヒノキ特異の主要アレルゲン(Cha o 3)があり、スギの治療だけでは抑えきれないことがあります。対策は通年の継続治療適切な薬の併用です。

Q. 検査が陰性なのに“花粉症っぽい”のは?

A. 局所アレルギー性鼻炎(LAR)の可能性があります。全身のIgEは陰性でも、鼻粘膜局所ではIgE反応が起きているタイプです。証明するには専門的検査が必要となります。


まとめ(院長メッセージ)

「つらい季節を“ふつうの生活”に戻す」ことが、当院の花粉症診療の目標です。

最前線の知見(最小持続炎症への初期治療、鼻噴霧ステロイドの活用、LARの概念、舌下免疫の長期設計)をわかりやすくお伝えし、患者さん一人ひとりの事情に合わせた“続けやすい治療計画”を一緒に考えていきましょう。

通学・仕事・受験・育児――どのシーンでも鼻炎がブレーキにならず、"上向きな毎日"が遅れるような治療を目指します。

どうぞ気軽にご相談ください。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など