あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

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HPV陽性中咽頭がん

HPV関連中咽頭がん

HPVと中咽頭がんとは

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、皮膚や粘膜の小さな傷から感染する、ごく身近なウイルスです。多くは自然に排除されますが、持続感染すると、子宮頸がんだけでなく中咽頭がん(口蓋扁桃・舌根・軟口蓋を含む「のどの奥」)の原因にもなります。とくに扁桃や舌根のくぼみ(陰窩)にウイルスが入り込んで発がんにつながることがあり、HPV16型などの高リスクHPVが大きく関与します。

HPV関連中咽頭がんは、従来の喫煙・飲酒関連のがんと比べて比較的若い世代の男性に多く原発巣(口蓋扁桃・舌根・軟口蓋を含む「のどの奥」の腫瘍本体)が小さく首のリンパ節腫大から見つかることがある点も特徴です。

早期は表面に変化が乏しく見つけにくい一方、治療への感受性が高く予後は良いとされます(診断・治療の是非は個別に判断されます)。

症状の現れ方

HPV関連・非関連を問わず、中咽頭がんの初期はのどの違和感や痛み、飲み込みにくさ、耳の奥の痛み(片側)声のかすれなど、かぜに似た訴えで始まることが少なくありません。数週間以上続く場合や、血の混じるつば・のどからの出血・首のしこりが出てくる場合は、早めの受診をおすすめします。HPV関連例では原発巣が小さく、まず首のリンパ節の腫れに気づくこともあります。

世界で増えているという現実

欧米を中心に中咽頭がんは増加しており、その背景としてHPV感染による例の増加が挙げられます。国内でも男女とも緩やかな増加傾向が報告され、男性の比率が高いことが特徴です。喫煙率が低下しても発生が増えている点は、HPV対策(予防接種・啓発)が重要であることを示唆します。

予防の柱:HPVワクチン

HPVワクチンは感染予防に有効と考えられており、世界各国では男女ともを対象にした接種制度が進んでいます。ワクチンは治療薬ではないため、感染する前の年齢で接種するほど効果的です。国内でも公的接種の再開・拡充が進んでいるため、対象年齢・スケジュールは自治体の案内や厚生労働省の情報をご確認ください。将来のHPV関連中咽頭がんを含むHPV関連がんの負担を減らす――その観点からも、ワクチンは“予防の要”と位置づけられます。

(当院ではHPVワクチンの接種は行っておりません)

診断と治療の考え方

診断は、耳鼻咽喉科での視診・触診・内視鏡、そして生検(病理検査)が基本です。広がりの評価にCT・MRI、必要に応じてPETを用います。HPV関連を示すp16免疫染色HPV-DNA検査が診断補助として行われることもあります。治療は手術・放射線治療・化学療法の組み合わせが中心で、部位とステージ、嚥下・発声など機能温存の目標を総合して決定します。HPV関連中咽頭がんは治療感受性が高く予後が良い傾向が示されていますが、治療後の嚥下・味覚・発声などを保つためのQOL支援がとても大切です。

当院でできること

当院では、のどの違和感・嚥下困難・長引く声枯れ・片側の耳の痛み・頸部のしこりなどの症状に対し、内視鏡を用いた丁寧な診察と必要に応じた画像検査の手配を行います。

さらなる精密検査が必要と判断した場合は、高次機能病院と緊密に連携し、迅速に紹介受診していただけます。

Q&A

Q. どのような症状で受診すべきですか?

A. 2〜3週間以上続く痛み・違和感、飲み込みにくさ長引く声枯れ片側の耳痛のどからの出血首のしこりなどがある場合は、早めに耳鼻咽喉科で内視鏡を含む診察を受けてください。

Q. 男性にもHPVワクチンは必要ですか?

A. HPVは男女ともに感染し、男女共通のがん(中咽頭・肛門など)に関与します。男性接種も感染予防・将来の罹患減少につながると考えられ、諸外国では男女とも定期接種が進んでいます。国内の対象・方式は自治体の最新情報をご確認ください。

Q. HPV関連がんは治療で治りますか?

A. 部位・進行度で異なりますが、HPV関連中咽頭がんは治療感受性が高いことが知られています。ただし嚥下・味覚・発声などQOLの課題が残ることもあり、術前からの多職種連携(言語聴覚士・歯科口腔外科・栄養など)が重要といわれています。

まとめ

HPV関連中咽頭がんは増加傾向にあり、若い世代・男性にも起こり得ます。早期はかぜに似た症状で見過ごされやすく、一方で予防(ワクチン)と早期受診が将来の負担を減らす鍵になります。のどの不調が続くときは迷わず耳鼻咽喉科への受診をおすすめします

細径の内視鏡を用いた検査でわかりやすく病変の有無を説明し、必要に応じて専門施設への橋渡し行います。安心してご来院ください。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など