あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

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メニエール病

メニエール病|めまい・難聴・耳鳴り・耳閉感をくり返す内耳の病気

メニエール病とは

メニエール病は、内耳(聴こえと平衡を司る器官)で内リンパ液が過剰になることで、回転性めまい難聴耳鳴り耳の詰まった感じ(耳閉感)が発作的に同時に生じ、くり返す慢性疾患です。

発作は予告なく起こり、数十分から数時間持続し、その後おさまるという波を繰り返します。原因は完全には解明されていませんが、内耳の液体のバランス破綻(内リンパ水腫)が中核と考えられ、体質やストレス、睡眠不足、気象・温度差などが加わって症状が揺れ動くことがあります。

症状の現れ方

発症のしかたや経過は人により差がありますが、低音域の聴こえにくさや耳の詰まり感、耳鳴りが前ぶれのように出現し、次第に強い回転性めまいを伴う発作へ移行していくことがあります。

発作は数分〜数時間続き、吐き気・嘔吐・冷汗を伴うことも少なくありません。活動性が高い時期には発作の間隔が短くなったり、その後は間欠的に季節の変わり目などで再燃する、といった周期性をとることがあります。

長い経過のなかで難聴や耳鳴りが固定化することもありますが、適切な治療と生活調整で発作頻度や強さを抑え、聴力の維持をめざすことができます。

診断

診断は問診で発作の様子(持続時間、同時に起こる耳症状、反復性)を詳しくうかがい、聴力検査で低音域を中心とした変動する難聴の有無を確認します。

あわせて平衡機能検査(眼振の観察など)で前庭機能を評価し、必要に応じてMRI等で他の疾患(中枢性めまい等)を除外します。

「めまい+耳症状が同時に反復」という臨床像が最も重要で、単発のめまいのみ、耳鳴りのみではメニエール病とは言い切れません。

治療

治療は発作期の対処再発予防の二本立てです。

発作時は安静・暗所での安定姿勢をとり、抗めまい薬・制吐薬などで症状をしずめます。発作の背景にある内リンパ水腫を軽くする目的で、利尿作用を持つ薬剤や循環改善薬を組み合わせることがあります。難聴の程度の強い場合は、急性難聴にならってステロイドの内服を開始します。

再発予防としては、塩分摂取の適正化(濃い味を避ける・外食時の工夫)、規則的な睡眠ストレス負荷の軽減カフェインやアルコール摂取の見直し、生活のリズムを整えることが極めて重要です。必要に応じて、内リンパの量を調節する内服薬などを開始します。これらで十分に抑えきれない難治例には、専門施設で内リンパ嚢減圧術や、重度例では前庭神経切断術などの外科的選択肢が検討されますが、まずは保存的治療と生活調整の徹底が基本となります。

生活でできること

メニエール病は「波」のある病気です。

だからこそ、波を小さく保つための日々の調整が効きます。急な予定変更を詰め込みすぎない、睡眠時間を確保する、脱水を避ける、デスクワークや移動の合間に目と体の緊張をゆるめる時間をつくる——こうした地味な積み重ねが、発作の引き金を遠ざけます。

耳鳴りや耳閉感が「前ぶれ」として出る人は、早めに休む・水分をとる・塩分を控えるなど自分の“安全策”を持っておくと安心です。


Q&A

Q. 発作はいつまで続きますか?仕事は休むべきでしょうか。

A. 多くは数十分〜数時間でおさまりますが、強い吐き気や歩行困難を伴う場合は安静が最優先です。職種にもよりますが、運転・高所作業は危険が高いため回復まで避け、発作が頻回な時期は勤務調整をおすすめします。

Q. 食事で気をつける点はありますか。

A. 味の濃い食品や外食中心の生活塩分過多になりやすく、内リンパ水腫の悪化に結びつくことがあります。薄味を基本に、加工食品やスープ類のとり過ぎに注意してください。水分はこまめにアルコール・カフェインは量とタイミングを調整しましょう。

Q. 完治はむずかしい病気でしょうか。

A. 完全に「ゼロ」にすることは容易ではありませんが、発作頻度と強さを下げて生活を取り戻すことは十分に可能です。薬物治療+生活調整で安定が得られる方が多くみられます。

Q. どんなときに受診すべきですか。

A. 初回の強いめまい耳症状を伴う反復性のめまい難聴が増悪して戻らない神経症状(しびれ・言語障害・強い頭痛)を伴う場合は速やかに受診してください。

まとめ

メニエール病は、めまい・難聴・耳鳴り・耳閉感をくり返す内耳の病気です。診断は症状の同時性と反復性を手がかりに、聴力・平衡機能の評価鑑別を行います。治療は発作期の対症+内リンパ水腫への介入、そして塩分・睡眠・ストレスを中心とした生活調整が柱です。波のある病気だからこそ、波を小さく保つための予防策がとくに重要となります。不安を感じたら、お気軽にご相談ください。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など