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マイコプラズマ感染症


マイコプラズマ感染症

はじめに
マイコプラズマは学童〜若年成人に多い呼吸器感染症の原因菌です。
多くはかぜの様な症状で自然軽快しますが、長引く咳や肺炎に至ることもあります。
ここでは特徴・感染経路・症状・検査/治療・予防を、当院での対応を交えてまとめます。

マイコプラズマとは
細胞壁を持たない極小の細菌で、ペニシリン系/セフェム系といった一般的によく用いられる抗生剤が効きにくいのが特徴です。
マイコプラズマ感染症で代表的な疾患がマイコプラズマ肺炎で、学童期〜若年者に多くみられます。多くは軽症ですが、長引く咳(3〜4週)が残りやすいとされています。

感染経路・潜伏期
飛沫感染が主な感染経路です。家庭・学校・職場など人が密集する場で広がりやすく、潜伏期はおよそ2〜3週間(1〜4週間)です。自覚症状が乏しい時期にも拡がることがあります。

症状
乾いた咳で始まり、のちに湿った咳となることが一般的です。
微熱〜中等度の発熱、咽頭痛、倦怠感などかぜと似た症状をきたします。
咳は3〜4週持続することも珍しくなく、ゼエゼエ・ヒューヒューとした喘鳴を伴う場合もあります。そして、重症例では肺炎に進展します。

検査・診断
抗原検査:咽頭に綿棒で粘膜を拭い取り、15分程度で結果がでます。ただし下気道の菌量に比べ口の中などの上気道は菌量が少ないため、結果が陰性でも否定しきれません(感度は十分でない)。そのため抗原検査の結果はもちろんですが、症状などの経過や流行状況も加味しての診断を行います。咳が出ている時期に有用性が上がります。
胸部X線:肺炎の有無の判定目的に行います。診断は症状の経過・流行状況・身体所見を総合して行い、検査陰性でも臨床的に疑えば治療を先行することがあります。

治療
第一選択:マクロライド系(例:アジスロマイシン3日間、クラリスロマイシン10日間)を中心に投与します。
重症/他剤無効:ニューキノロン系(成人中心)。
多くは数日〜1週間で改善。自然軽快する感染症でもあるため、全例で抗菌薬が必須ではありません。発熱が2〜3日続く/咳が1週間以上遷延などでは治療を検討します。解熱・水分・休息など支持療法を併用します。

予防と感染拡大防止
手洗い・咳エチケット・換気が基本となります。十分な睡眠・栄養で免疫を整えましょう。
登園/登校は、急性期の症状の強い時は出席停止です。全身状態が良くなれば再開可が一般的です(園・学校の指示に従ってください)。

Q&A
Q. 抗原検査が陰性でした。マイコプラズマではない?
A. 陰性でも否定しきれません。上気道の菌量が少ない時期は感度が低下します。また、のどからの検査では陽性になりにくい特徴もあり、検査のみでの診断は難しい場合もあります。症状・経過・周囲の流行から総合判断し、臨床的に疑えば治療を先行することがあります。
Q. いつ受診すべき?
A. 発熱が2〜3日以上続く/呼吸が苦しい/夜間咳で眠れない/脱水などは受診の目安となります。高齢者・基礎疾患・乳幼児では肺炎を併発する場合もあり早めの相談をおすすめします。
Q. 抗菌薬は必ず必要?
A. 自然軽快することもあるため、全例必要なわけではありません。ごく軽症例での抗生剤の仕様は、肺炎を中途半端に隠してしまうためあまり推奨されません。咳の遷延や肺炎の合併が疑われる場合に適切な抗菌薬を選択します。自己判断での中断は再燃の原因となるため避けてください。
Q. 家族・学校で広げないコツは?
A. 手洗い・マスク・換気を徹底してください。咳が強い時期は無理せず休み、共有物の清拭、帰宅後のうがいを徹底してください。

まとめ
学童〜若年者に多い呼吸器感染で、長引く咳が特徴です。抗原検査は陰性でも否定できず、臨床判断+必要な検査で対応します。治療はマクロライド系が第一選択であり、代替薬や支持療法を組み合わせ、拡げない生活対策も重要です。
気になる症状が続くときは、早めにご相談ください。
記事監修

Itsuki Kitayama
大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など




