about
お子さんの鼻吸引について

- お子さんの鼻吸引|苦しいときに、やさしく楽にするケア
- はじめに
- 子どもに鼻水が多い理由(医学的背景)
- 放っておくと、何が起こる?
- おうちでできる鼻水吸引(流れとコツ)
- 準備と体勢
- ノズルの当て方と圧のかけ方
- タイミングの目安
- 吸引器の選び方――“手動・携帯・据え置き”のちがい
- 手動タイプ:まず一本。外出先や軽い鼻づまりの“お守り”
- 電動“携帯型”:小型・静か。さらっとした鼻水向き
- 電動“据え置き型”:短時間でしっかり
- お手入れ・衛生面――“毎回洗って、完全に乾かす”が基本
- 当院での鼻水吸引(アマツ式にも対応)
- よくある場面と、うまくいく工夫
- Q&A
- Q. 毎日しても大丈夫ですか?
- Q. 鼻血が出ました。どうしたら良いですか?
- Q. どのタイミングがベストですか?
- Q. いつ受診したらよいですか?
- Q. 家庭用の吸引器、どれを選べば?
- まとめ(院長メッセージ)

お子さんの鼻吸引|苦しいときに、やさしく楽にするケア

はじめに
「寝ついたと思ったら、すぐに鼻が苦しそうに目を覚ます」「授乳や食事がすすまない」「鼻がつまってずっと機嫌が悪い」――赤ちゃんや幼児は自分で上手に鼻をかめません。鼻水には異物を捕まえて体を守る大切な役割がありますが、出す力が未熟な時期は周りの手助けが必要です。
鼻水吸引は、呼吸や睡眠、授乳・食事を楽にし、中耳炎や副鼻腔炎の予防にもつながる、ご家庭の方がお子さんのために家庭でも行っていただけるケアです。

子どもに鼻水が多い理由(医学的背景)
鼻とその奥の副鼻腔は、吸い込んだ空気を加湿・加温し、ホコリやウイルスを粘液でからめ取る、いわば気道を外界から守るバリアとなる場所です。
ところが小さなお子さんは、
鼻腔が細く短いため、少量の鼻水でもすぐ詰まる
耳と鼻をつなぐ耳管が水平に近い角度で短く、鼻水や細菌が耳へ届きやすい
口呼吸になりやすく、喉が乾燥して風邪をこじらせやすい
――といった特徴があります。結果として、鼻水が喉に落ちて夜間の咳や飲み込みにくさを招き、鼻の奥の炎症は中耳炎や副鼻腔炎に広がりやすくなるのです。寝る前や授乳前に鼻を通してあげることは、上記のような病気の発症リスクを減らし、日々の暮らしを安定させるための大切な工夫といえます。

放っておくと、何が起こる?
鼻水が長引くと、耳管から中耳へ病原体が移動して急性中耳炎を起こしやすくなります。
急性中耳炎が治ったあとなどに、中耳に液体が残る滲出性中耳炎は、聞こえや発語の学習に影響することもあります。
また、鼻の奥から頬・額の空洞に炎症が広がると小児副鼻腔炎になり、湿った咳・口呼吸・いびきが続き、睡眠の質が下がります。
早い段階で鼻水をこまめに取り除くことが、悪化の連鎖を断つ近道です。

おうちでできる鼻水吸引(流れとコツ)
準備と体勢
入浴後などに鼻腔をしっとりさせてから行うと、粘り気がゆるんで吸いやすくなります。抱っこや膝の上で頭を軽く固定し、暴れるときはバスタオルでふんわり包むと安全です。もう一人のおとなに頭を支えてもらうと、短時間でお子さまも苦痛が少なく済みます。
ノズルの当て方と圧のかけ方
鼻の中は、おそらく皆さんが思っているよりも下向きに広がっています。
先端は押し込みすぎず、やや斜め下に向けてそっと当てます。長く吸い続けるのではなく、短く区切って休み休み吸ってみましょう。
少量の鼻血が出たらその日は中止して様子を見ましょう。

タイミングの目安
特に決まりはありませんが、特にお風呂上がりは鼻水も柔らかくなっており吸いやすく、子どももリラックスしています。

吸引器の選び方――“手動・携帯・据え置き”のちがい
鼻水をすっと取ってあげたい場面は、たいてい寝る前や登園前、授乳や食事の直前などですよね。短い時間で確実に鼻水を取れることが最も理想的です。店頭でよく見かけるのは大きく手動タイプ/電動の携帯型/電動の据え置き型の3つ。
ここでは一般的院手に入りやすい製品を軸に、使い分けと価格帯、口コミで語られる“生の使い心地”をまとめました。
手動タイプ:まず一本。外出先や軽い鼻づまりの“お守り”
お買い求めしやすいのが丹平製薬「ママ鼻水トッテ」です。口で吸うストロー式で、価格は700〜800円台(税込 約830円)。軽い鼻水や外出先の応急処置に向き、洗ってすぐに使える手軽さが魅力です。口コミでは「手頃で扱いやすいが、ドロッとした鼻水は取り切れないことも」という声が目立ちます。 (ウェルシア)

電動“携帯型”:小型・静か。さらっとした鼻水向き
コンビやベビースマイルの小型電動は、片手で扱えるコンパクトさと静かめの動作音が安心材料。ただ、奥の粘い鼻水には力不足との声もあります。価格は目安として4千円前後〜(機種により幅があります)。「夜中に子どもを起こさず使えるが、結局ひどい時は据え置きの出番」という使い分けが、家庭での実感に近い印象です。 (松木屋ココカラオンライン)

電動“据え置き型”:短時間でしっかり
しっかり吸いたい日は据え置き型(コンセント給電)が本命です。代表的なのはBabySmile「メルシーポット」とピジョン「SHUPOT(シュポット)」です。
メルシーポットは50dB以下の静音設計とパワフルな吸引が特長で、「短時間で奥の粘い鼻水まで抜ける」という満足度が高い製品です。相場は1.0〜1.3万円あたり(セット内容で上下します)。 (BabySmile)

SHUPOTはやわらかノズルや収納しやすい筐体で、「お手入れが楽・置きっぱなしでも生活感が出にくい」といった声が多く、メーカー希望価格は15,000円(税抜)です。 (ピジョン商品情報)

お手入れ・衛生面――“毎回洗って、完全に乾かす”が基本
どの機種でも、毎回の洗浄と乾燥がいちばんのポイントです。鼻水にはウイルスや細菌が含まれるため、タンクやチューブ内に残さないこと。兄弟で共用するなら、ノズルは子どもごとに分けると安心です(メーカーの取説に従って煮沸や消毒)。この一手間が、再感染の予防と機器の長持ちにつながります。

当院での鼻水吸引(アマツ式にも対応)
当院では、状況に応じて先端が丸い「オリーブ管」と、先端がやわらかいシリコン製の「アマツ式吸引管」を使い分けています。
アマツ式は細く柔らかい先端で奥の粘い鼻水にやさしく届くのが利点です。怖がりやすい年齢の子には短時間で手早く、粘膜に配慮して行います。逆に、入口付近の鼻水が主体ならオリーブ管で奥へ入れすぎない方法を選択します。
「今日は入口だけで」「奥までしっかり」――ご希望は遠慮なくお伝えください。吸引後にネブライザーで粘膜の炎症を抑える治療をセットで行っていただくとより効果が見込めます。

よくある場面と、うまくいく工夫
夜、寝てから1時間ほどで咳き込みが始まる――多くは鼻水が喉へ垂れているサインです。寝る前の吸引と枕の高さの調整で落ち着くことが少なくありません。
授乳中にすぐ離して泣く――鼻づまりで息が苦しい可能性があります。授乳前の吸引で、飲むリズムが整います。
泣いて嫌がる日は、ごほうびシールや抱っこでの声かけも有効です。「泣いたけど、すっきりしたね」と必ず褒めることが、鼻の吸引を継続していけることにつながります。

Q&A
Q. 毎日しても大丈夫ですか?
A. 鼻水が多い時期はこまめにで大丈夫です。1回を短く区切る、血がまじるときなどは無理をしない――この2点を守れば、毎日でも負担は大きくありません。寝る前・授乳前が特に効果的です。
Q. 鼻血が出ました。どうしたら良いですか?
A. 少量なら中止して様子見で問題ありません。押し込みすぎない・長く吸い続けないを注意すれば多くは防げます。頻繁に出る、止まりにくい場合は診察を受けてください。
Q. どのタイミングがベストですか?
A. 就寝前・授乳/食事前・登園前/帰宅後が目安です。お風呂上がりは粘り気がゆるみ、吸いやすくなります。
Q. いつ受診したらよいですか?
A. 発熱や耳痛を伴う、黄色〜緑の鼻水が10日以上続く、夜間の咳が増える、強く嫌がり吸えない――こうしたときは迷わず耳鼻科でご相談ください。必要に応じて薬・ネブライザー、中耳/副鼻腔のチェックを行います。
もちろん、上記の症状がなくとも、鼻吸引だけの受診も大歓迎です!
Q. 家庭用の吸引器、どれを選べば?
A. 手動は手軽、携帯型は外出先向き、据え置き型は短時間で確実に。と、ご家庭の状況に合わせて使い分けを行っていただくが現実的です。毎回洗浄・乾燥は徹底してください。

まとめ(院長メッセージ)
鼻水吸引は、お子さんの呼吸・睡眠・食事を守る、ご家庭でもできるケアです。
実際、鼻吸引をこまめにしっかり行なってあげることで、お子さんの毎日の機嫌やご家族の負担を確実に軽くすることを実感しています。
当院では、アマツ式を含む方法で小さなお子さんも奥までしっかり吸引しつつ、怖さを最小限にする声かけや体勢づくり(膝上でのやさしい固定)を工夫しています。
“鼻水吸引だけ”の受診でも全く構いません。
お子さんの今のつらさを少しでも軽くして、また元気な毎日を過ごしていただくお手伝いを、スタッフ一同でいたします。
記事監修

Itsuki Kitayama
大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など





