あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

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副鼻腔炎(ちくのう症)

副鼻腔炎(蓄膿症)の原因・症状・治療をやさしく解説

朝起きたらほおが重だるい、鼻をかんでもドロっとした鼻水が続く、なんだかにおいが変……。そんなとき、鼻の奥にある空洞「副鼻腔」で炎症が起きる副鼻腔炎(蓄膿症)が考えられます。ここでは、患者さんからの相談が多いポイントを、受診の流れに沿ってわかりやすくまとめました。


副鼻腔炎(蓄膿症)とは

風邪や細菌・カビ・ウイルス、アレルギーなどをきっかけに、副鼻腔と鼻をつなぐ小さな通路が腫れてふさがると、空洞に粘りの強い鼻水(膿)がたまり、鼻づまり・においの低下・後鼻漏(鼻水がのどへ落ちる)などの症状が続きます。発症から4週間以内を「急性副鼻腔炎」、さらに長期に副鼻腔炎の症状が続くと「慢性副鼻腔炎」と呼びます。昔は「蓄膿症」といわれました。


急性副鼻腔炎

多くはかぜ(急性上気道炎)に続いて発症します。はじめはウイルスが主役ですが、途中から細菌の二次感染が重なると、黄色~緑色の鼻水頬・額の痛み、発熱が目立ってきます。適切な治療で1~2週間前後で良くなることが多い一方、こじらせると慢性化することがあります。


慢性副鼻腔炎

症状が長期に続く状態です。鼻の粘膜が長く腫れ、鼻茸(はなたけ/ポリープ)ができることもあります。においが分かりにくい、頭重感、後鼻漏による咳など、生活の質を長期に渡って大きく下げてしまう厄介な疾患です。

感染症やアレルギー、歯の根の炎症(歯性上顎洞炎)、真菌(カビ)が関係することもあります。原因を見極め、内服薬・去痰薬・点鼻ステロイド・鼻処置・ネブライザーを組み合わせて長期的にコントロールします。


好酸球性副鼻腔炎

両側に多発する鼻茸、再発のしやすさ、嗅覚障害が特徴の指定難病です。気管支喘息アスピリン不耐症を合併しやすく、再燃を抑える継続治療が鍵になります。薬物療法のみで完治させることは困難であり、基本的には内視鏡手術が検討されます(手術は連携病院をご紹介します)。

歯性上顎洞炎(歯が原因の副鼻腔炎)

「片側だけドロッとしたにおいの強い鼻水が続く」「ほほや上の奥歯がズキっと痛む」。そんな時、原因がにあるケースがあります。上の奥歯(上顎臼歯)の歯根は上顎洞のすぐ下に位置しており、虫歯や根尖病変、インプラント・抜歯後の感染が洞へ波及すると歯性上顎洞炎を起こします。鼻の病気だと思って耳鼻科に来院され、CTで歯の根の炎症が見つかる――外来でよくあるストーリーです。
診断は鼻内視鏡副鼻腔CTで行い、歯科(口腔外科)との連携が治療の近道となります。抗菌薬だけで一時よくなっても、原因歯の根管治療や抜歯を行わないと再燃することが多いです。必要に応じて、耳鼻科側で内視鏡副鼻腔手術も併用します。(手術は連携病院をご紹介します)


副鼻腔真菌症(カビによる副鼻腔炎)

副鼻腔に真菌(カビ)が関与するタイプです。多くは片側の上顎洞(頬の奥の空洞)に塊を作る非侵襲性(菌球型)で、金属臭・古いチーズのような臭いの鼻汁や、CTで高吸収の影を示すことがあります。

治療は内視鏡手術(ESS)で塊を除去し換気を回復させるのが基本で、抗菌薬では治りません。アレルギー体質の方にみられるアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)では、粘稠な鼻汁と鼻茸、嗅覚低下が目立ち、術後のステロイド治療や長期フォローが大切です。

また、免疫が低下している方でまれに起こる浸潤型真菌症は、眼の痛み・発熱を伴い、早期専門治療が必要になります。(手術は連携病院をご紹介します)


副鼻腔腫瘍(鼻副鼻腔がん)

鼻腔・副鼻腔の腫瘍は頻度こそ高くありませんが、片側だけの鼻づまり・鼻出血・顔面のしびれや痛み・歯の違和感・頬の腫れなどが長く続くときは要注意な疾患です。慢性副鼻腔炎と紛らわしいため、内視鏡検査とCT/MRIで見極めます。疑いがあれば、基幹病院・大学病院にて内視鏡下手術や放射線・化学療法を含めた集学的治療を検討します。

本疾患が疑われた場合、速やかに追加の画像検査の手配・紹介を行います。


副鼻腔はどこにある?

鼻のまわりの骨の中に、左右それぞれ4つの空洞上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞(下図よりさらに奥側))があります。場所によって頬の痛み目と目の間の痛み額の痛み奥の頭痛など、感じ方が違います。


症状と原因

主な症状

ねばっこい膿性の鼻水鼻づまり後鼻漏(のどに流れる)、頭痛・顔面痛においの低下、ときに鼻血。子どもでは咳が長引く原因にもなります。

主な原因

感染(ウイルス→細菌・まれに真菌)アレルギー性鼻炎喫煙や乾燥などの環境要因、虫歯や歯の根の炎症、体質・基礎疾患が組み合わさって起こります。


検査(当院の流れ)

問診・診察

症状の経過、鼻水の性状、歯や頬の痛み、アレルギー歴、においの変化まで丁寧にうかがいます。

細径の鼻内視鏡検査

膿性鼻汁・粘膜の腫れ・鼻茸の有無・腫瘍性病変の有無をその場で確認します。

CT画像検査

炎症の広がりや歯の影響を把握するためにCT画像検査が役立ちます。当院では被ばく量を押さえつつ高精度な撮影が可能な最新のCT画像検査設備を即日撮影いただける環境を整えております。

MRI画像検査

CT画像は簡便に撮影ができ、疾患の有無を迅速に判断できるメリットが有る一方で、副鼻腔内の病変の質的な判断が難しい場合があります。特に、副鼻腔炎が片側だけに見られる場合副鼻腔腫瘍副鼻腔真菌症を除外する目的でMRI検査が追加で必要となる場合があります。当院は近隣のの画像健診センターと連携し、必要な方に迅速にご案内します。


治療法

1) 急性期:まずは細菌感染の勢いを止める(抗菌薬 5–7日目安)

どろっとした膿性鼻汁・頬の痛み・発熱があり、細菌性が疑わしいときは抗菌薬を短期で用います(目安1週間、症状により延長)。48–72時間で効果を確認し、改善が乏しければ薬の見直しを行います。
同時に点鼻ステロイド去痰薬(カルボシステイン等)、必要に応じて抗ロイコトリエン薬を開始して、炎症と鼻汁の粘性を抑えます。

鼻処置やネブライザーは痛みや鼻づまりを和らげ、治りを早めてくれます。

2) 慢性期:炎症を沈め、線毛を整える(マクロライド少量長期療法 8–12週目安)

急性期を越えても鼻づまり・後鼻漏が残ることは多々あります。炎症がある程度治まったとしても、副鼻腔内には膿が依然として残ったままであることが実はほとんどです。

このようなタイプでは、マクロライド少量持続療法にバトンタッチします(通常8–12週間)。この薬は“強い殺菌”よりも、粘膜の炎症調整や線毛機能の回復を狙った治療効果があります。

再燃を繰り返す方鼻茸のない慢性副鼻腔炎で特に効果が期待できます。ここでも点鼻ステロイド+去痰薬は継続が早期改善のコツであることは変わりません。

症状が軽くなってもすぐ止めず、規定期間をやり切ることで“ぶり返し”を防ぎます。

3) 併用療法(期間を通して)

  • 点鼻ステロイド:毎日コツコツ。嗅覚低下鼻茸のある方ほど続ける価値があります。

  • 去痰薬:鼻汁をさらさらにして排出を助けます。

  • 抗ロイコトリエン薬喘息鼻茸を伴う方の炎症コントロールに有用です。

  • 鼻処置・ネブライザー:クリニックでの鼻処置は治癒促進と再発予防に効果的です。とくにネブライザー療法は、鼻の奥にまで直接薬液を届けることができるため効果的です。

  • 鼻洗浄(生理食塩水):ご自宅ケアとして併用すると効果が安定します。

4) どのくらい“内服だけ”で良くなるの?

目安として――

  • 急性副鼻腔炎:多くの方が内服(+処置)だけで改善し、手術に至ることはまれです。

  • 慢性副鼻腔炎(鼻茸なし)内服中心の治療でコントロールできる方が多数(7割程度)です。マクロライド少量長期をベースとしたの“粘り強い治療”が奏功します。

  • 鼻茸が大きい/好酸球性/真菌や歯が原因などの特殊タイプは、内服だけでは不十分なことがあります。必要に応じて内視鏡手術など(連携施設)を検討します。

鼻処置・ネブライザー

鼻処置によって腫れを和らげて通り道をひらき、薬剤の噴霧(ネブライザー)鼻の奥まで薬液を行き渡らせ、炎症を鎮めます。

特に、小さなお子さんにはやわらかいシリコン製のアマツ式吸引管を使い、奥の鼻水まで短時間でしっかり吸引いたします。

手術治療(当院では施行していません)

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は、重症例や再発例で検討されます。当院では基幹病院と連携し、必要な方を速やかにご紹介させていただきます。術後の通院管理は当院でも丁寧にフォローします。


予防と日々の管理

禁煙十分な睡眠加湿を心がけましょう。

処方させていただく内服薬は指示どおりきちんと飲んでいただき、定期的な通院による鼻処置・ネブライザー療法もおすすめです。

水泳は膿性鼻汁が強い間は控えめにしたほうがいいでしょう。


副鼻腔炎とアレルギーの関係

アレルギー性鼻炎があると粘膜が腫れやすく、副鼻腔の換気が落ちて副鼻腔炎を合併しやすくなります。アレルギー治療と副鼻腔炎治療の両輪で整えると、鼻のトラブルがぐっと減ります。


お子さまの副鼻腔炎

副鼻腔は成長とともに発達します。就学前~学童期は通路が細く、鼻風邪から副鼻腔炎に移行しやすい一方、治りも早いのが特徴です。長引く咳寝起きの口臭の背景に副鼻腔炎が隠れていることもあります。当院では痛みの少ない細径内視鏡・必要に応じて画像検査でお子さんの副鼻腔炎の有無を見極め、抗生剤を含めた内服薬の必要性の判断鼻吸引・ネブライザー療法を丁寧に行います。


副鼻腔炎と喘息

鼻と気管支は一本の気道でつながっています。慢性副鼻腔炎は喘息を合併しやすく、互いに悪化させるリスク因子になります。副鼻腔炎のコントロールが、喘息のコントロールにも直結するのです。


Q&A

Q. 副鼻腔炎は自然に治りますか?

A. 軽い症状であれば数日で軽快することもありますが、数日間強い症状が続く黄色~緑色の鼻水痛み・発熱がある、といった場合は早期の受診がおすすめです。慢性化すると治療が長引くだけでなく、激しい頭痛や、嗅覚障害の遷延などの合併症のリスクを上げてしまうことにもなります。

Q. 自宅でできるケアは?

A. 鼻洗浄加湿十分な睡眠、そして禁煙が基本です。小さなお子さんはこまめな鼻吸引が有効です(当院ではアマツ式で奥まで安全に吸引いたします)。

Q. どれくらいで良くなりますか?

A. 急性副鼻腔炎は1~2週間、慢性副鼻腔炎は数か月単位でのコントロールが目安です。好酸球性鼻茸を伴う場合は、術後も含め再発予防の継続が大切です。

Q. 仕事や学校は休むべき?プールは?

A. 体調が許せば日常生活は概ね可能です。ただし膿性鼻汁が強い間の水泳は粘膜を刺激するため控えめにしたほうが良いでしょう。強く鼻をかむのは中耳炎の原因になるので片方ずつ優しくがコツです。

Q. 歯の治療中(根管治療やインプラント)ですが、鼻の症状が気になります。鼻も診てもらうべき?

A. はい。 片側性・においの強い鼻汁や頬の痛みがあれば歯性上顎洞炎の可能性があります。耳鼻科で内視鏡とCTを確認し、必要に応じて歯科口腔外科と連携して同時に治療を進めるのが増悪防止の近道です。 

Q. 副鼻腔の腫瘍が心配です。なにかサインはありますか?

A. 片側だけの鼻閉・鼻血・頬や歯ぐきのしびれ、顔の形の変化、治療しても改善しない嗅覚障害などが続くときは、画像検査(CT/MRI)を含めた早めの精査をおすすめします。


まとめ(院長メッセージ)

副鼻腔炎は正しく診断し、続けて整えると、必ず生活の質が上がる病気です。

当院では細径内視鏡や即日撮影可能なCT画像を用いて適切な診断を行い、、年齢や体質に合わせた薬物療法鼻処置を行ってまいります。

「長引く鼻づまり」「ドロっとした鼻水」「においの異変」――小さな違和感のうちに、どうぞ気軽にご相談ください。


※記載は患者さん向けの一般的説明です。治療は年齢・合併症・重症度で変わります。受診時に個別にご提案します。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など