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睡眠時無呼吸症候群


睡眠時無呼吸(成人・小児)
夜、静かなはずの寝室で「止まって、また荒く吸う」呼吸が繰り返される――。それが睡眠時無呼吸です。いびきだけでなく、日中の強い眠気、集中力低下、そして放置すれば高血圧や心不全などの心血管病にもつながることがあります。
小児では成長や学習にも影響します。
気になるサインがあれば、まずは耳鼻咽喉科で「鼻・のどの通り」を診てもらうだけでなく、ご自宅で行っていただく簡単な検査でしっかりと無呼吸の程度を判定してみましょう。

睡眠時無呼吸とは
睡眠中に呼吸が止まる(無呼吸)、あるいは浅く弱くなる(低呼吸)状態が、1時間に何回も起きる病気です。成人では閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が大半で、のど(上気道)が狭くなることが原因です。
診断のベースは無呼吸低呼吸指数(AHI)という指標で、症状と合わせて評価します。


症状と影響(成人)
朝は頭が重く、日中は耐えがたい眠気。会議でうとうと、運転中のヒヤリ、仕事の能率低下など、日常生活を営むうえで様々な障壁となりうる症状をきたします。
また、無呼吸の状態は血管系への負担も大きく、長く続けば高血圧・不整脈・心不全などの心血管リスクが高まります。
鼻づまりは口呼吸を招き、咽頭の虚脱(つぶれ)を助長して無呼吸を悪化させるため、鼻治療も実は大切です。
診断には終夜睡眠ポリグラフ(PSG)が推奨され、重症度判定や中枢性無呼吸(脳や脊髄といった中枢神経系に原因があること)の有無も含めて確認します。

症状と影響(小児)
小児ではサインが少し違います。大きないびき、口呼吸、眠りの途中でむせるような呼吸。日中は多動・集中困難・学習成績の低下が目立つことがあります。
口呼吸が続くと顎顔面の成長にも影響し、いわゆるアデノイド顔貌を来すこともあります。
多くは就寝時に実際に無呼吸を引き起こしている動画などを拝見させていただくことで、定性的に評価を行いますが、指示に従える年齢になれば、診断には終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を用いて、重症度判定や中枢性無呼吸の有無も含めて確認することもできます。

主な原因
顎やのどの形、肥満、扁桃・アデノイドの肥大、鼻閉が大きな要因です。成人では扁桃が大きく軟口蓋の位置が高いタイプだと外科治療が効きやすく、鼻手術は鼻閉改善やCPAP継続の助けになります。
小児ではアデノイド・口蓋扁桃肥大が原因のことが多く、適切な評価にもとづく手術(アデノイド切除・扁桃摘出)で改善が期待できます。

検査の流れ
まずは外来で鼻・のどの内視鏡や体格、歯列・顎の形を確認します。
ご自宅で実際に就寝時に行っていただく、簡易睡眠検査(簡易PSG検査)で重症度評価や、CPAP療法の適応を判断します。
必要に応じて、1泊入院検査としてさらに精密な終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行う場合もあります。(必要時は関連医療機関へ紹介いたします。)
小児では中枢性無呼吸の鑑別も重要で、睡眠の質や他の睡眠障害も合わせて評価します。

治療(成人)
治療は原因と重症度に合わせて選びます。
標準はCPAP(シーパップ)で、就寝中にやさしく圧をかけて上気道が狭くなってしまうことを防ぎます。
軽症〜中等症やCPAPが合わない方は、就寝時の体の向きや、マウスピース(口腔内装置)が有効な場合があります。
扁桃肥大が強い、顎顔面の条件が良い場合は口蓋扁桃摘出術やUPPP(のどを広げる手術)が選択肢になります。
鼻手術は、鼻閉の改善やCPAP継続のために重要な役割を果たします。
最近は舌下神経刺激療法のような新しい選択肢も登場しています。適応は限られるため、専門医で評価して最適解を決定いたします。(手術加療が必要と判断した場合は、連携する病院へ紹介させていただきます)


治療(小児)
小児の睡眠時無呼吸の多くは、鼻通りの悪さと密接に関係しています。そのため、軽症〜中等度の睡眠時無呼吸では、点鼻ステロイドや抗ロイコトリエン薬などの鼻通りを改善する薬や、鼻処置・ネブライザー療法などで経過をみる「保存的治療」を優先する考え方も一般的です。
アデノイド・扁桃肥大が主体なら、アデノイド切除・扁桃摘出で改善が期待できます。

生活の工夫
体重管理、横向き寝、鼻炎の治療は、どの治療を選ぶ場合でもプラスに働きます。
アルコールや鎮静薬は上気道をゆるめて悪化させることがあるため、就寝前は控えめにしましょう。

Q&A
Q. いびきだけでも受診したほうがいい?(成人)
A. 「いびき+日中の眠気」「起床時のだるさ・頭痛」「高血圧や不整脈」があれば、検査のサインです。
いびきは必ずしも睡眠時無呼吸の状態になっているわけではなく、鼻の通りが悪いことなどで、鼻の奥で乱流が生まれ、いびき音がなっているだけのこともあります。
いびきは上気道狭窄の警告音ですが、実際にCPAP療法が必要かどうかは、無呼吸の検査を行っていただいてからの判断となります。
Q. 子どもの「お口ポカン」や夜のいびき、どこまで様子をみる?
A. お子さんの睡眠時無呼吸に関して手は、学習・行動・成長への影響があるため、長引く場合は耳鼻咽喉科での評価が望ましいです。アデノイド・扁桃が原因なら手術で改善が期待できます。軽症であれば保存的治療や経過観察も選択肢となります。
Q. 小児でも検査は必要?
A. お子さんの場合、睡眠時無呼吸の多くは扁桃肥大が原因です。扁桃肥大の程度や、アデノイドの大きさなどを評価し、必要に応じて連携する病院へ紹介させていただきます。
お子さまの年齢によっては、ご自宅で行っていただく簡易な無呼吸検査(簡易PSG)で重症度や中枢性無呼吸の有無を確認できます。
年齢・季節・合併症に応じて鼻の治療を含む保存療法も併用します。

まとめ(院長メッセージ)
当院では、細径内視鏡で鼻・のどの通りを丁寧に評価し、自宅での簡易睡眠検査を組み合わせて、一人ひとりに合った治療を一緒に選択し、「よく眠れる毎日」を取り戻すお手伝いをします。まずは気軽にご相談ください。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
