あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

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鼻がくさい

鼻がくさい――慢性副鼻腔炎と“においの異変”のお話

「鼻がくさい」「ネギのようなにおいがする」「ドロっとした鼻水が続く」――そんなとき、いちばん多い原因は副鼻腔炎(ふくびくうえん)です。

いっぽうで、周りにはにおっていないのに自分だけ強い悪臭を感じる異臭症(いしゅうしょう)や、においそのものが弱くなる嗅覚障害が隠れていることもあります。

ここでは、臭いに関する原因と対処をやさしくまとめました。


副鼻腔炎ってどんな病気?

私たちの鼻の奥には、左右のほほ・おでこ・鼻の付け根などに「副鼻腔」という小さな空洞が並んでいます。風邪やアレルギー、細菌・ウイルスなどがきっかけでこの通り道が腫れてしまうと、空洞に粘り気のある鼻水(膿性鼻汁)がたまり、においが強くなる頭重感や顔面痛後鼻漏(鼻水がのどに回る)といった症状が続きます。昔は「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれていました。

副鼻腔炎には大きく急性慢性があります。急性は数週間で治ることが多い一方、慢性は3か月以上症状が続き、鼻茸(はなたけ/ポリープ)ができたり、嗅覚が落ちたりすることもあります。なかでも指定難病の好酸球性副鼻腔炎は再発しやすく、治療に難渋するタイプです。
さらに、上の奥歯の炎症が副鼻腔に及ぶ歯性上顎洞炎、自己免疫の病気(ANCA関連血管炎 など)に伴う副鼻腔炎など、原因が鼻以外にあるケースもあります。においが強い・ドロっとした鼻水が長引くときは、そのままにせず耳鼻咽喉科での評価が安心です。


「においが変」「臭く感じる」=異臭症って?

変な臭いが続く原因のほとんどは、上に挙げた副鼻腔炎が原因であることがほとんどです。しかし、ファイバーやCTなどで鼻の中に全くといっていいほど異常がないにもかかわらず、変な臭いが持続することがあります。

本当は臭っていないのに悪臭を感じる幻臭、においの質が変わって不快に感じる嗅覚倒錯(異臭症)などがそれにあたります。

原因は様々ですが、副鼻腔炎や感冒後(風邪や新型コロナ後)・頭部外傷後など嗅覚の神経自体がダメージを受けている場合があります。ただし、原因を特定できないこともあります。においのトラブルは生活の質に直結しますが、早めの評価と「嗅覚トレーニング」などで改善が期待できます。


当院で行う診察と検査の流れ

問診・視診

症状の出方(鼻水の色や量、におい、頭重感、歯の痛み、発熱、アレルギー歴、コロナなどの感染歴)を丁寧に伺い、鼻の入口を細径の内視鏡を用いて観察します。

鼻内視鏡(細径カメラ)

副鼻腔炎のサイン(膿性鼻汁、粘膜の腫れ、鼻茸)を高精細の内視鏡で確認します。必要に応じて分泌物の細菌検査を行います。

画像検査

炎症の広がりや歯の影響を調べるためCTが役立ちます。必要時は、近隣の画像健診センターと連携し、必要な方に速やかにご案内します。

嗅覚検査

においの感じ方を客観的に調べるT&Tオルファクトメーターなどの検査で、異臭症・嗅覚障害の程度を評価します。(当院では行っておりません)


治療の基本と通院のめやす

急性副鼻腔炎

洗浄や去痰薬、症状に応じて抗菌薬去痰薬点鼻ステロイドなど。痛みや発熱が強い時期はこまめな吸引・ネブライザーを行うことで治療効果があがるとされています。

慢性副鼻腔炎・再発性副鼻腔炎

マクロライド系抗生剤の少量長期投与がガイドラインでは推奨されています。その他にも、鼻処置やネブライザーの継続なども有効です。内服をしっかり行ったうえでの難治例では内視鏡下副鼻腔手術が選択肢になります。好酸球性副鼻腔炎では術後も再発予防の継続ケアが大切です。

歯性上顎洞炎

歯の治療(根管治療・抜歯など)との連携が重要です。耳鼻科と歯科口腔外科の両輪で治していきます。難治例となる場合が多く、その場合内視鏡下副鼻腔手術が選択肢になります。

異臭症・嗅覚障害

炎症の改善と並行して嗅覚トレーニング(朝晩、決まった香りを数分ずつ嗅ぐリハビリ)を継続します。早期に始めるほど回復が期待できます。


受診の目安(こんなときは耳鼻科へ)

  • 膿のようなにおいの強い鼻水が10日以上続く

  • 片側だけの鼻づまり・顔面痛・歯の痛みがある

  • 周囲は臭っていないのに、自分だけ悪臭を感じる(異臭症・幻臭)

  • 発熱を伴う、頭痛が強い、視界の異常や頬の腫れが出てきた

  • におい・味が急に分かりにくくなった/長引いている


Q&A

Q. 「ネギのようなにおい」がします。放っておいても治りますか?

A. 典型的な膿性鼻汁のサインで、副鼻腔炎が疑われます。軽症なら数日で軽快することもありますが、数日間続く・発熱や頭重感を伴う時は早期の受診をおすすめします。放置すると激しい痛みや慢性化、嗅覚低下などその他の症状を合併する原因にもなります。

Q. 周りは何も臭わないのに、私だけ強い悪臭を感じます。

A. 異臭症(幻臭・嗅覚倒錯)の可能性があります。副鼻腔炎などでも起きますが、感冒後頭部外傷後の嗅覚障害でも起こります。内視鏡検査画像検査で評価し、必要に応じて嗅覚トレーニングを始めましょう。

Q. 市販の血管収縮タイプの点鼻薬を続けても大丈夫?

A. 臭いがする、鼻が詰まるからといって、市販の使い過ぎると薬剤性鼻炎を招き、かえって鼻づまりが悪化します。長引く症状にはステロイド点鼻や洗浄など、耳鼻咽喉科を受診して原因に合わせた治療に切り替えましょう。

Q. 歯が悪いと鼻も臭うことがある?

A. はい。上の奥歯の炎症が副鼻腔に波及する歯性上顎洞炎では、片側のドロっとした鼻水や悪臭、頬の痛みが出ます。一般的な鼻が直接の原因の副鼻腔炎と比較して、悪臭を感じる割合が多いとされています。

Q. 治療はどれくらい続ければいい?

A. 原因によります。副鼻腔炎の診断となった場合、急性期の症状(発熱や痛みなど強い症状の時期)は1~2週間で改善が多く、慢性期は数か月単位のコントロールが必要です。好酸球性副鼻腔炎や鼻茸を伴う場合は、さらに長期のフォローが必要となります。


まとめ――院長より

においの悩みは、体だけでなく日々の楽しさにも影響します。
CT画像評価や、細径内視鏡によるていねいな診療で、原因に合わせた最適な治療をご提案します。
「鼻がくさい」「においが変」「においが分からない」――小さな違和感のうちに、どうぞ気軽にご相談ください。


※本ページは患者さん向けにわかりやすく書いています。治療内容は症状・合併症・既往歴によって変わります。まずは診察で個別にご相談ください。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など