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ことばや発音が気になる


こどもの話しことば(発音)──発達の流れと、気になるときの受診目安
はじめて言えた「ぱぱ」「まま」「わんわん」。このように、ことばは周りの人のやり取りを聴きながら少しずつ身についていきます。
発音(構音)も同じで、大人の口もとや声をまねしながら、唇・舌・歯・あごなどの器官を上手に動かす方法を体が覚えていきます。多くのお子さまは年齢に応じた順序で音を獲得しますが、発音がゆっくりな場合や、「いつまでも言いにくい音が残る」場合には、耳鼻咽喉科での評価が役に立ちます。
- こどもの話しことば(発音)──発達の流れと、気になるときの受診目安
- 発音(構音)の発達のめやす
- 4歳ごろまでに整いやすい音
- 5〜6歳で整ってくることが多い音
- 「気になる発音」にはどんなタイプがある?
- 発達の途中で起こる誤り
- 発音の覚え方のくせ(機能性構音障害)
- 形や動きの問題が関わる場合
- 発音と「聞こえ」の関係
- 当院での評価とリハビリの流れ
- 医師の診察
- 言語聴覚士による評価
- リハビリテーション(言語療法)
- おうちでできるサポート
- Q&A
- Q. 4歳ですがサ行がうまく言えません。様子見で大丈夫?
- Q. 家では毎回言い直しをさせた方が良いですか?
- Q. 舌小帯が短いと言われました。すぐ手術が必要?
- Q. 発音の問題と聞こえは関係しますか?
- まとめ(院長からのメッセージ)

発音(構音)の発達のめやす
乳幼児期は母音とくちびる・舌の先を使う音から整っていき、年長頃から難しい音へと発達が進みます。
4歳ごろまでに整いやすい音
あ・い・う・え・お/パ・バ・マ・ヤ/タ(ツ以外)・ダ(ヅ以外)/カ・ガ/ワ/ナ/ハ など。まだ不安定でも成長とともに整っていくことが多い時期です。
5〜6歳で整ってくることが多い音
サ・ザ・ラ・ツ・ヅ。年長〜小学校低学年で仕上がることが一般的です。ここを過ぎても聞き取りにくさが続く場合はご相談ください。

「気になる発音」にはどんなタイプがある?
同じ“言いにくさ”でも背景はさまざまです。以下はよくみられる例です。
発達の途中で起こる誤り
置換(「さかな→たかな」など音が入れ替わる)、省略(「さかな→あかな」など一部の音が抜ける)は、年齢相応の範囲でみられ、成長とともに改善することがあります。
発音の覚え方のくせ(機能性構音障害)
日本語にない歪んだ音になってしまう、側音化(口の横から息が漏れる)、口蓋化(タ行やダ行がカ行・ガ行のように後ろ寄りになる)、鼻咽腔構音(鼻から不要な息漏れ)が続くタイプ。年齢が上がっても残りやすく、言語聴覚士によるリハビリでの練習が役立ちます。
形や動きの問題が関わる場合
口蓋裂・舌小帯短縮などの器質性の要因、脳性まひ・脳卒中・神経筋疾患などに伴う運動障害性では、耳鼻咽喉科や関連診療科と連携しながら評価・治療を行います。

発音と「聞こえ」の関係
子どもは聞こえを手がかりに発音を学ぶため、難聴や中耳炎があると音の覚え方に影響します。当院では、発音のご相談時に聴力評価を併せて確認し、必要に応じて中耳の状態や内耳機能もチェックします。

当院での評価とリハビリの流れ
医師の診察
口腔・鼻咽腔・舌小帯・歯列など器質的な要因を確認し、聴力検査の要否を判断します。
言語聴覚士による評価
年齢に合った構音検査、音の聞き分け、口腔機能の観察を行い、強化すべき音や練習手順を決めます。
リハビリテーション(言語療法)
目標音の口形・舌位置の練習、聞き分け練習、ことばの中への般化を、短時間の家庭練習と組み合わせて進めます。器質的課題がある場合は医療的対応と併行します。
なお、当院の発音評価は基本的には年長以降を対象とし、保険診療で実施します(予約枠に限りがあります)。

おうちでできるサポート
発音づくりの土台は毎日の会話と口の使い方です。口を閉じてよく噛む食事、ストローぶくぶく・シャボン玉・ラッパなどの遊びは、唇・舌・頬の協調に役立ちます。
会話では、誤りを強く指摘するのではなく、大人が正しい言い方を短くモデル提示するのがコツです。
「さかな」を「たかな」と言ったら、落ち着いた速度で「そうだね、さかなおいしいね」と言い直して聞かせる。これで十分です。

Q&A
Q. 4歳ですがサ行がうまく言えません。様子見で大丈夫?
A. サ行・ラ行・ツ/ヅは年長〜小1で整うことが多い音です。4歳では経過をみることもありますが、聞き返される・本人が気にしている・他の音も不明瞭なら早めの評価をおすすめします。
Q. 家では毎回言い直しをさせた方が良いですか?
A. 過度な指摘は話す意欲を下げることがあります。基本は大人が正しいモデルを短く示す、成功したら褒める、家庭で1日3〜5分の楽しい練習を続ける、が効果的です。
Q. 舌小帯が短いと言われました。すぐ手術が必要?
A. 舌の長さだけで決めず、可動域・発音の実際・聞き分けを総合的に評価します。処置が有効な例もありますが、訓練で改善する場合も多く、まずは専門的評価をご相談ください。
Q. 発音の問題と聞こえは関係しますか?
A. はい。聞こえが不安定だと音の学習が難しくなります。発音のご相談時に聴力チェックを行い、必要なら中耳炎などの治療も併行します。

まとめ(院長からのメッセージ)
発音の発達には“順番”と“タイミング”があります。 多くは成長とともに整いますが、「長く続く聞き取りにくさ」「本人や周囲の困り」は、早めの評価で大きく変えられます。
医師と言語聴覚士がチームになって、お子さまの強みを伸ばす最適なステップをご提案します。気になることがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。毎日の会話が、きっともっと楽しくなります。
記事監修

Itsuki Kitayama
あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
