あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

about

点鼻ステロイド薬

花粉症のつらい鼻づまりに。本当に効く「点鼻ステロイド薬」の正しい使い方と選び方

「飲み薬を飲んでいるのに、どうしても鼻づまりがスッキリしない」「ステロイドの薬って、なんだか副作用が怖くて…」と、花粉症のシーズンに不安を抱えていませんか?

実は、花粉症治療において「点鼻(てんび)ステロイド薬」は、非常に安全性が高く、つらい症状を根本から和らげてくれる頼もしい存在です。今回は、点鼻薬の効果をしっかり引き出すための「正しい使い方」や、お薬の選び方について、わかりやすくお話しします。

点鼻ステロイド薬とは?

点鼻ステロイド薬は、鼻の粘膜に直接シュッと吹きかけて、アレルギーによる炎症を鎮めるお薬です。花粉症治療のガイドラインでも、軽症から重症まで幅広く使われる「主力の治療」として推奨されています。

「ステロイド」と聞くと、強い副作用を心配される方も多いかもしれません。しかし、点鼻薬は基本的に「鼻の中の粘膜だけ」で働くように作られています。全身に強く作用する注射や飲み薬のステロイドとは役割もリスクも全く異なり、適切に使えば全身への副作用は起こりにくい、とても安全なお薬ですのでご安心ください。

点鼻ステロイド薬が効果を発揮する主な症状

点鼻ステロイド薬は、花粉症の3大症状すべてに優れた効果が期待できます。

  • しつこい鼻づまり(鼻閉)

  • 止まらない水っぱな(鼻漏)

  • 連続するくしゃみ

特に注目したいのは、「鼻づまりにとても強い」という点です。飲み薬(抗ヒスタミン薬)だけでは鼻づまりがどうしても残ってしまう方にとって、非常に心強い味方になります。

原因・メカニズム

なぜ、点鼻ステロイド薬はこれほど効果的なのでしょうか。

花粉が鼻に入ると、粘膜ではアレルギー反応が起き、「炎症の火」が燃え広がっている状態になります。血管がむくんで腫れ上がることで、鼻がつまってしまうのです。

点鼻ステロイド薬は、単なる一時的な「その場しのぎ」ではありません。

  • 炎症を引き起こす細胞(肥満細胞など)の働きを抑える

  • 炎症を悪化させる物質(サイトカインなど)を減らす

  • 血管のむくみを引かせる

このように、「炎症の火種そのものを消し止める」働きがあります。そのため、毎日使い続けることで鼻の粘膜が安定し、つらい症状が出にくくなるというメカニズムです。

治療について

点鼻ステロイド薬の治療で一番大切なのは、「毎日、同じ時間に続けること」と「正しい使い方」です。実は「お薬が効かない」と感じる方の多くは、使い方が原因(うまく鼻の奥に届いていない)であることがほとんどです。

絶対におさえておきたい!点鼻の5つのコツ

  1. 最初は空打ちを(プライミング)

    初めて使う時や久しぶりに使う時は、細かい霧がシュッと出るまで数回空押ししてください。

  2. 鼻は軽くかんでから

    鼻水がいっぱいだと、せっかくのお薬が一緒に流れ出てしまいます。

  3. 顔は少し「下向き」に

    上を向いてスプレーすると、お薬が喉の奥に落ちてしまい、苦味や違和感の原因になります。うつむき加減で行いましょう。

  4. ノズルは「目」ではなく「耳」の方向へ

    鼻の真ん中の仕切り(鼻中隔)に直接当てると、ヒリヒリしたり鼻血が出やすくなります。ノズルの先を少し外側(耳の方向)に向けて、優しくスプレーします。

  5. 吸い込みは「軽く」

    勢いよくスーン!と吸い込むと喉に流れてしまいます。自然な呼吸で軽く吸い込む程度で大丈夫です。

お薬の使い分け(種類)について

点鼻薬は製剤によって「使い心地」に比較的大きな違いがあります。毎日続けるものなので、ご自身が使いやすいものを選ぶのが一番です。

  • ナゾネックス(一般名:モメタゾンフランカルボン酸エステル): 1日1回の使用で長く使いやすい、定番のお薬です。「まずは無難に始めたい」という方によくお出しします。

  • エリザス(一般名:デキサメタゾンシペシル酸エステル): こちらは「粉末タイプ」のお薬です(15歳以上対象)。液体のツンとする刺激がほとんどなく、また液だれが苦手な方に好まれることがあります。

院長からのアドバイス(ご家庭で気をつけること)

花粉症の治療は、一つの強いお薬に頼るのではなく、「困っている症状に合わせた足し算」が基本となります。くしゃみや水っぱなが強ければ飲み薬(抗ヒスタミン薬)を、鼻づまりが強ければ点鼻ステロイド薬を軸にするなど、症状の重症度に応じて組み合わせて使うことが推奨されています。

【注意喚起】市販の点鼻薬について

また、市販の点鼻薬の中には、スッと鼻が通る「血管収縮薬」が含まれているものがあります。即効性はありますが、連用すると逆に鼻の粘膜が腫れてしまい、より頑固な鼻づまり(薬剤性鼻炎)を引き起こす恐れがあります。使う場合は短期間にとどめ、長引く場合はぜひクリニックにご相談ください。
※箱の成分欄を見て、血管収縮薬の成分である“ナファゾリン”、“テトラヒドロゾリン”、“オキシメタゾリン”が入っていないか確認してください。

【注意喚起】花粉症のステロイド注射について

「1回打てばシーズン中ずっと効く」と謳われるステロイドの筋肉注射がありますが、これは全身に強いステロイドを効かせるものであり、副作用のリスク(局所のへこみ、感染症、ホルモンバランスの乱れなど)が大きいため、現在では推奨されていない治療法です。「SNSで話題だから」と安易に飛びつくのは大変危険ですので、避けるようにしてください。

よくある質問(FAQ)

Q:毎日使っても大丈夫ですか?

A: はい、適切に使えば大丈夫です。点鼻ステロイド薬は鼻の局所でのみ作用し、体内に吸収されてもすぐに分解されるように設計されています。そのため、全身への副作用は起こりにくいとされています。

Q:使い始めて、どのくらいで効いてきますか?

A: 早い方なら1〜2日で変化を感じますが、一番効果が安定してくるのは「数日〜2週間ほど毎日続けた後」です。「つらい時だけ1回」ではなく、歯磨きのように毎日の習慣にして続けることが大切です。

Q:いつまで使い続ければいいですか?

A: 基本的には、花粉のピークを越えて症状がしっかりと落ち着くまでお使いいただくことをおすすめします。少し良くなったからといって自己判断で急にやめると、再び炎症がぶり返してしまうことがあります。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など