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嘔吐・吐き気が続いている


子どもの嘔吐——慌てず「原因」を見極めるために
夕食のあと、急にお子さんが吐いてしまう——びっくりして胸がざわつきますよね。
嘔吐は子どもにとても多い症状ですが、一時的な胃の負担から感染性胃腸炎、まれには腸重積などの緊急疾患まで背景はさまざまです。当院では、まず脱水を防ぐことを最優先に、原因をていねいに見極める診療を行います。
ここでは嘔吐や吐き気の原因や診断、対処法などを、わかりやすく説明していきます。

嘔吐の見分け方
嘔吐の回数やタイミング(食後・朝・夜)、発熱・下痢・腹痛の有無、尿量や元気の残り方が手がかりです。繰り返す嘔吐や水分がとれないときは脱水に注意が必要です。
緑色(胆汁)や血が混じる嘔吐、激しい腹痛、頭をぶつけた後の嘔吐は、緊急性が高く救急病院を受診してください。

考えられる主な原因
感染性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)
ノロウイルスやロタウイルスなどが代表です。嘔吐に下痢や発熱が続くことがあり、家族内感染も起こりやすい病気です。脱水を防ぐ経口補水が回復の要になります。ロタウイルスは乳幼児の主要な原因ウイルスで、多くの子が5歳までに一度は感染すると考えられています。
腸重積症(ちょうじゅうせき)
乳幼児に多い腸の緊急疾患です。急な嘔吐と強い腹痛、ときにいちごジャム状の血便が手がかりです。緊急性が高く早期の診断・整復が必要です。
頭部外傷・脳の病気
転倒後の繰り返す嘔吐、意識がぼんやり、けいれんなどは脳震盪や頭蓋内の異常を疑います。髄膜炎・脳炎でも嘔吐や頭痛が見られることがあり、迅速な評価が重要です。
咳き込み・鼻の病気に伴う嘔吐
強い咳き込みや後鼻漏(鼻水がのどに流れる)で吐いてしまうことがあります。副鼻腔炎や咽頭炎が関わるときは耳鼻咽喉科の診察が有用です。当院は必要時に耳鼻科と連携し、内視鏡を含む評価や処置をワンストップで行います。

当院での診断の流れ
診察と評価
いつから・何回・どのタイミングで吐くか、発熱・下痢・腹痛の有無、水分摂取量と尿量、体重変化をうかがいます。必要に応じて迅速検査、血液・尿検査、腹部エコーを行います。判断は全身状態と緊急度を軸に行います。

ご家庭でのケア
水分補給のコツ
吐いてしまった直後は30分ほど間をあけて、スプーン1杯程度を頻回に、経口で水分を少しずつ摂取してもらいます。経口補水液が最適です。無理に食べさせないこと、安静に過ごすことが回復を早めます。
嘔吐物の処理と感染予防(胃腸炎のとき)
使い捨て手袋・マスクを着け、塩素系(次亜塩素酸ナトリウム)で周囲を拭き取り、その後よく洗浄します。布類は85℃以上1分の熱水洗濯または消毒で対応します(漂白作用に注意)。

治療の考え方
脱水の予防・改善
軽症例では経口補水で十分です。飲めない・ぐったりしている、尿が少ないなど脱水が進む場合は点滴で水分・電解質を補います。
吐き気止め・整腸剤
年齢や症状に応じて制吐薬や整腸剤を使います。嘔吐が強く経口が難しいときは座薬や点滴に含めて調整します。
原因への治療
腸重積は緊急整復、虫垂炎や頭蓋内の異常は外科・脳神経領域での治療が必要です。髄膜炎・脳炎が疑わしい場合も連携する基幹病院へ迅速な紹介をいたします。
耳鼻科と連携した診療
咳や鼻の症状が強く、嘔吐が続くケースでは耳鼻咽喉科領域の評価が役立ちます。当院は耳鼻科と院内連携し、必要な検査・処置をワンストップで実施します。

Q&A
Q. 1回だけ吐いて元気です。様子を見ても大丈夫?
A. 元気があり、水分もとれていれば経過観察でもかまいません。繰り返す・ぐったり・尿が少ないなどがあれば早めに受診をおすすめします。
Q. 水を飲ませるとすぐ吐きます。どう与えたらよい?
A. 30分ほど休んでから、スプーン1杯ずつ頻回に。経口補水液が最適です。焦って一気に飲ませると再び吐きやすくなります。
Q. 嘔吐物の片付け方は?家族にうつりませんか?
A. 手袋・マスクを着け、塩素系消毒(次亜塩素酸ナトリウム)で周辺を拭き取り、その後よく洗浄します。衣類は熱水洗濯や消毒を。エタノール(アルコール)が効きにくいウイルスもあるため注意が必要です。
Q. 頭を打ったあとに吐きました。受診すべき?
A. 繰り返す嘔吐、意識がいつもと違う、けいれん、強い頭痛などがあればすぐ救急受診を。1回のみで元気が戻っても、数時間はようすをみて気になる変化があれば医療機関に相談してください。

まとめ(院長より)
「吐き気・嘔吐」の裏側には、脱水のリスクから見逃せない病気まで、様々な原因が隠れています。
「この子、いまは様子見でいいのかな?」——迷ったら、どうぞ遠慮なく相談してください。
記事監修

Itsuki Kitayama
大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など
