あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

コラム

COLUMN

喘息専門医取得のお知らせと、長引く咳の診断・治療について

皆様、こんにちは。あわじ駅前クリニックです。

このたび当院院長が、日本喘息学会の「喘息専門医」試験に合格いたしました。

今回は、喘息専門医とはどのような資格なのか、そしてなぜ「長引く咳」の診断には専門的な視点が大切なのかを、できるだけわかりやすくご紹介します。

喘息専門医とは?

喘息専門医は、日本喘息学会が定める専門医制度に基づき、気管支喘息とその関連疾患について、専門的かつ正確な診断・治療を行うことを目標とした医師に与えられる資格です。学会の到達目標には、喘息診療実践ガイドラインに基づく管理・治療、アレルゲンの評価や回避指導、そして併存疾患・類縁疾患への対応が含まれています。

専門医取得に必要な主な要件

日本喘息学会の専門医制度では、申請にあたり、医師免許取得後7年以上の臨床経験学会所定の研修カリキュラム修了学術大会または気道アレルギーセミナーへの2回以上の参加などが求められ、さらに専門医試験に合格する必要があります。耳鼻咽喉科など内科・小児科以外の医師が申請する場合は、喘息診療患者数などの追加確認も行われます。

[一般社団法人日本喘息学会](https://jasweb.or.jp/specialist/rule)

なぜ「咳」の診断に専門性が必要なのか?

「咳」はとてもありふれた症状ですが、原因はひとつではありません。日本呼吸器学会の『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』でも、慢性の咳の原因として、喘息・咳喘息、アトピー咳嗽、鼻副鼻腔炎や後鼻漏、胃食道逆流症(GERD)、感染後咳嗽、薬剤性咳嗽、腫瘍、間質性肺炎など、幅広い疾患が挙げられています。つまり、患者さんから見ると「同じ咳」でも、背景にある病気はさまざまで、診断の考え方も治療法も異なります。

[一般社団法人日本呼吸器学会](https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20250404085247.html)

長引く咳の代表的な原因

1. 気管支喘息・咳喘息

喘息では、気道に慢性的な炎症が起こり、咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、息苦しさ、胸苦しさなどが繰り返し出ます。咳喘息は、その中でも咳が主症状となるタイプです。

2. アトピー咳嗽

アレルギー素因と関係する慢性咳嗽で、咳喘息とは別の病態として扱われます。喘息と似て見えることがありますが、同じように考えてよいとは限りません。

3. 鼻副鼻腔炎・後鼻漏

鼻副鼻腔炎や後鼻漏(鼻水がのどに落ちる状態)は、咳の原因になります。耳鼻咽喉科では、鼻の炎症や副鼻腔の状態を含めて評価できることが大きな強みです。ガイドラインでも、鼻副鼻腔炎や後鼻漏症候群は慢性咳嗽の重要な原因として扱われています。

4. 胃食道逆流症(GERD)

胃酸や胃内容物の逆流がのどや気道を刺激し、咳につながることがあります。胸やけがはっきりしない方でも、咳の背景に逆流が関わることがあります。

5. そのほか

感染後に咳だけが長引く感染後咳嗽薬剤による咳喫煙や環境因子、まれですが肺や気道の重い病気が隠れていることもあります。長引く咳を「ただの風邪」と決めつけないことが大切です。

咳の診断は「ひとつの検査だけ」では決まりません

咳の診断では、まず詳しい問診がとても重要です。いつから続いているか、夜や早朝に悪いか、季節性があるか、運動で悪化するか、鼻症状や胸やけを伴うか、薬の内服歴があるか、などを丁寧に確認します。

そのうえで必要に応じて、呼吸機能検査、FeNO(呼気一酸化窒素)測定、アレルギー検査、画像検査などを組み合わせて評価します。なお、FeNOは気道の好酸球性炎症をみる補助的な指標として有用ですが、FeNOだけで喘息や咳喘息を確定したり、逆に否定したりはできません。実際、日本呼吸器学会や関連文献でも、FeNOはあくまで補助診断であり、低値でも咳喘息を否定しきれないことが示されています。

最後に

咳はよくある症状ですが、診断は決して単純ではありません。

喘息専門医としての知識と、耳鼻咽喉科・小児科としての視点を活かしながら、「なぜ咳が続いているのか」を丁寧に見極め、患者さん一人ひとりに合った治療をご提案してまいります。

咳でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など