大阪あわじ駅前クリニック 耳鼻咽喉科・小児科

コラム

COLUMN

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の広報委員を引き続き務めます

大阪あわじ駅前クリニック院長の北山一樹です。

このたび、一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会より、令和8・9年度の広報委員会委員として委嘱を受け、前期に引き続き活動することとなりました。

日々の診療と並行しながら、耳・鼻・のど・声・きこえ・飲み込み・頭頸部の病気などについて、正しい医療情報をわかりやすく社会へ届ける活動に、引き続き携わってまいります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会とは

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の診療、研究、教育、専門医制度などを担う学術団体です。

耳鼻咽喉科というと、「耳」「鼻」「のど」を診る診療科というイメージが強いかもしれません。もちろんそれは間違いではありませんが、実際にはもっと幅広い領域を担当しています。

たとえば、

  • 難聴、耳鳴り、めまい

  • 中耳炎、外耳炎

  • アレルギー性鼻炎、花粉症、副鼻腔炎

  • 声のかすれ、声帯の病気

  • 飲み込みにくさ、むせ

  • いびき、睡眠時無呼吸

  • 顔面神経麻痺

  • 口・のど・首・唾液腺・甲状腺などの病気

  • 頭頸部がん

など、生活の質に深く関わる症状や病気を幅広く診療しています。

「聞こえる」「話す」「食べる」「飲み込む」「においを感じる」「呼吸する」といった機能は、毎日の生活に欠かせません。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、そうした生活の基本となる機能を支える診療科でもあります。

広報委員会は何をしているのか

「広報委員会」と聞くと、学会のお知らせを出したり、ポスターを作ったりする係のように思われるかもしれません。

もちろん、ポスターやホームページ、SNS、動画などを通じた情報発信も大切な仕事です。実際に学会では、耳鼻咽喉科・頭頸部外科を正しく知ってもらい、必要なときに専門医を受診していただくため、公式X、Instagram、Facebook、YouTubeなども活用して情報発信を行っています。

しかし、広報委員会の役割はそれだけではありません。

医療情報は、正確であることが何より大切です。
一方で、正確なだけでは患者さんに届かないこともあります。

専門用語が多すぎると、読む前に難しく感じてしまいます。
反対に、わかりやすさを優先しすぎると、病気の大切な部分が抜け落ちたり、誤解につながったりすることもあります。

そのため広報委員会では、

  • 医学的に正しいこと

  • 患者さんやご家族に伝わりやすいこと

  • 必要以上に不安をあおらないこと

  • 受診や予防など、次の行動につながること

のバランスを大切にしながら情報発信を行っています。

広報を通じて伝えたいこと

広報活動で伝えたいのは、単に病気の名前や治療法だけではありません。

たとえば、

「年齢のせいだから仕方がない」
「いつもの鼻炎だから大丈夫」
「声がかれているけれど、そのうち治るだろう」
「聞こえにくいけれど、まだ補聴器は早い気がする」
「首にしこりがあるけれど、痛くないから様子を見よう」

このように、日常の中で見過ごされやすい症状の中にも、早めに耳鼻咽喉科を受診することで、治療や重症化予防につながるものがあります。

広報活動の大きな目的は、患者さんやご家族が、

これは一度相談してみた方がよいかもしれない

と気づくきっかけをつくることです。

毎年3月は「耳鼻咽喉科月間」です

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、毎年3月を「耳鼻咽喉科月間」と定めています。学会は毎年3月を耳鼻咽喉科月間、7月を頭頸部外科月間として、耳鼻咽喉科・頭頸部外科が診療する病気を広く知っていただく啓発活動に取り組んでいます。

3月3日は「耳の日」です。耳鼻咽喉科月間は、その「耳の日」をきっかけに、耳だけでなく、鼻、のど、声、きこえ、めまい、飲み込み、顔面神経、頭頸部の病気など、耳鼻咽喉科が扱う幅広い領域について知っていただくための期間です。

耳鼻咽喉科月間では、全国各地で市民公開講座、無料相談、ポスター掲示、動画配信、SNSでの情報発信など、さまざまな啓発活動が行われます。学会の事業計画でも、耳鼻咽喉科月間には地方部会での無料相談会や市民公開講座、マスコミを通じた広報、ポスター制作、情報サイトの更新、YouTubeでの市民公開講座などが位置づけられています。

耳鼻咽喉科月間で知ってほしいこと

耳鼻咽喉科月間で特に知っていただきたいのは、耳鼻咽喉科の症状はとても身近でありながら、放置されやすいということです。

たとえば、聞こえにくさは「年齢のせい」と思われがちです。
鼻づまりは「いつものアレルギー」と思われがちです。
声のかすれは「風邪の後だから」と様子を見られがちです。
いびきや睡眠時無呼吸は「体質だから」と考えられがちです。

もちろん、すべてが重い病気というわけではありません。
しかし、症状が長引く場合や、生活に支障が出ている場合には、専門的に診察することで改善の糸口が見つかることがあります。

耳鼻咽喉科月間は、病気を怖がらせるための期間ではありません。
むしろ、自分の体の変化に気づき、必要なタイミングで相談していただくための期間です。

「きこえ」を守ることも大切なテーマです

耳鼻咽喉科月間では、難聴や補聴器に関する啓発も大切なテーマです。

聞こえにくさは、単に音が小さく聞こえるという問題だけではありません。会話への参加、家族や友人との関係、仕事、学習、外出、安全な生活など、さまざまな場面に影響します。

たとえば、

  • 聞き返しが増えた

  • テレビの音量を家族から指摘される

  • 人が多い場所で会話が聞き取りにくい

  • 電話の声が聞こえにくい

  • 会話に入るのが疲れる

といった変化は、聴力低下のサインかもしれません。

「まだ大丈夫」と我慢するのではなく、聴力検査を受け、必要に応じて補聴器などの選択肢を考えることが大切です。

毎年7月は「頭頸部外科月間」です

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、毎年7月1日から31日までを「頭頸部外科月間」と定めています。毎年7月27日は「世界頭頸部がんの日」であり、これに合わせて、日本では2021年から頭頸部外科月間として啓発活動が行われています。

「頭頸部外科」という言葉は、患者さんにとっては少し聞き慣れないかもしれません。

頭頸部とは、脳と目を除く、首から上の広い範囲を指します。具体的には、鼻、口、舌、のど、喉頭、声帯、唾液腺、甲状腺、首のリンパ節などが含まれます。これらの領域は、話す、食べる、飲み込む、息をする、味わう、においを感じるといった大切な機能と深く関わっています。

頭頸部がんとは

頭頸部がんには、さまざまな種類があります。

たとえば、

  • 舌がんを含む口腔がん

  • 咽頭がん

  • 喉頭がん

  • 鼻腔・副鼻腔がん

  • 唾液腺がん

  • 甲状腺がん

  • 首のリンパ節に関係するがん

などがあります。

頭頸部がんは、できる場所によって症状が異なります。初期には症状がわかりにくいこともあり、風邪、口内炎、鼻炎、声の使いすぎなどと思われて、受診が遅れることもあります。

注意していただきたい症状には、

  • 治りにくい口内炎

  • 舌や口の中のしこり

  • 長く続くのどの違和感

  • 飲み込みにくさ

  • 声のかすれが続く

  • 血の混じった痰

  • 首のしこり

  • 片側だけの鼻づまりや鼻血

  • 耳の前やあごの下の腫れ

  • 片側の耳の痛みや違和感

などがあります。

もちろん、これらの症状があるからといって、必ずがんというわけではありません。
ただし、長く続く場合や、片側だけに症状が続く場合には、一度耳鼻咽喉科・頭頸部外科で確認することが大切です。

頭頸部外科月間で伝えたいこと

頭頸部外科月間の目的は、頭頸部がんの予防、早期発見、治療について多くの方に知っていただくことです。

頭頸部がんは、病気を治すことだけでなく、治療後の生活の質も非常に重要です。声を出すこと、食事をすること、飲み込むこと、呼吸すること、顔や首の見た目など、日常生活に直結する機能が関わるためです。

そのため、治療では手術、放射線治療、薬物療法だけでなく、リハビリテーションや栄養管理、看護、歯科、言語聴覚士など、多職種で患者さんを支えることが重要になります。頭頸部外科月間の企画でも、標準治療に加えて、ロボット手術、光免疫療法、看護師による副作用対策、嚥下リハビリテーションなど、多職種で「食べる・話す・笑う」を支える医療が紹介されています。

「どこに相談すればよいか」を知っていただくこと

頭頸部外科月間で特に大切なのは、患者さんに、

口、のど、声、首のしこりは、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に相談できる

と知っていただくことです。

「首のしこりは何科に行けばいいのか」
「声がかすれているけれど、内科でよいのか」
「舌のできものは歯科か耳鼻咽喉科か」

このように迷われる方は少なくありません。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、耳、鼻、のどだけでなく、口の中、声帯、唾液腺、甲状腺、首のリンパ節なども診療する専門科です。

気になる症状が続くときは、遠慮なくご相談ください。

私が広報委員として関わっていること

私は耳鼻咽喉科医として診療を行う一方で、医療・学術分野を中心としたWeb制作、デザイン、動画、ロゴ、ポスター、図解、などの制作にも長く携わってきました。

広報委員会では、主に専門的な医学情報を、患者さんや一般の方に届きやすい形へ整理する仕事に関わっています。

具体的には、

  • 疾患解説ページの構成

  • 特設サイトのデザイン

  • ポスターやチラシの制作

  • SNS投稿用画像の制作

  • 動画や図解の構成

  • ロゴやキービジュアルの制作

などです。

医師として大切にしているのは、医学的な正確性です。
広報として大切にしているのは、伝わりやすさです。

この2つを両立させることが、私の広報委員としての役割だと考えています。

医学情報を「自分に関係のあること」として届ける

病気の説明を教科書のように並べるだけでは、多くの方にはなかなか届きません。

たとえば難聴についても、「聴力が低下します」と説明するだけでは、自分のこととして受け止めにくいかもしれません。

しかし、

  • 会話を何度も聞き返すようになった

  • 家族からテレビの音が大きいと言われる

  • レストランや会議で聞き取りにくい

  • 人と話すことが少し面倒になってきた

といった日常の変化として伝えると、「自分にも関係があるかもしれない」と気づきやすくなります。

同じように、頭頸部がんについても、「咽頭がん」「喉頭がん」と病名だけを伝えるのではなく、

  • 声のかすれが続く

  • 飲み込みにくい

  • 首にしこりがある

  • 片側の鼻づまりや鼻血が続く

  • 治りにくい口内炎がある

といった具体的なサインとして伝えることが大切です。

病気を必要以上に怖がらせるのではなく、受診すべきサインをわかりやすく伝える。
それが、医師が広報に関わる大切な意味だと考えています。

学会での経験をクリニックの診療にも生かします

学会での広報活動を通じて得た経験は、大阪あわじ駅前クリニックでの診療にも生かしてまいります。

診察室での説明、院内資料、ホームページの疾患解説、SNSでの情報発信などにおいても、患者さんが理解しやすく、安心して治療を選べる情報提供を心がけます。

当院では、耳鼻咽喉科・小児科として、地域の皆さまにとって身近で相談しやすいクリニックを目指しています。

症状が出たときだけでなく、

「これは耳鼻科で相談していいのかな」
「子どもの鼻づまりが続いている」
「聞こえが気になる」
「いびきや睡眠時無呼吸が心配」
「補聴器について相談したい」
「声のかすれが続いている」
「首のしこりが気になる」

といった段階でも、お気軽にご相談いただければと思います。

正しい医療情報を、わかりやすく

インターネットやSNSには、医療に関する情報があふれています。

便利になった一方で、不正確な情報、極端に不安をあおる情報、特定の治療へ強く誘導する情報も少なくありません。

だからこそ、専門家や学会が責任を持って、正しい情報をわかりやすく発信することが、これまで以上に重要になっています。

私は今後も、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の広報委員として、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の正しい知識を社会へ届ける活動に取り組んでまいります。

そして、その経験を当院の患者さんにも還元し、診療の場でも、ホームページでも、わかりやすく安心できる医療情報をお届けしていきたいと考えています。

専門的であること。
わかりやすいこと。
患者さんの次の一歩につながること。

この3つを大切に、これからも情報発信を続けてまいります。

記事監修

院長のプロフィール写真

Itsuki Kitayama

大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士

北山 一樹

医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医

大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。

学術実績など