コラム
COLUMN

—「声の“ガラガラ”を数値化する ARI」をドイツ語話者で検証—
このたび、院長が共同で進めてきた研究がJournal of Voice に掲載されました(オンライン先行)。テーマは、声の「粗さ(ざらつき)」を録音データから数値化する指標 Acoustic Roughness Index(ARI) を、ドイツ語話者で検証(クロスバリデーション)したというものです。簡単にご紹介します。 (サイエンスダイレクト)
何をした研究?
これまでに開発された ARI が、言語が変わっても「人が聞いて感じる粗さの強さ(専門家の聴覚評価)」と安定して対応するかを、ドイツ語の話し声で確かめました。
結果として、聴覚評価との相関や、正常な声と障害のある声を分ける性能が良好であることを確認。日本語・英語に続き、ドイツ語でも通用する可能性を示せました。 (サイエンスダイレクト)
ひと言でいうと:
耳で感じていた“ガラガラ感”を、録音から安定した数字にできるアルゴリズムが、別の言語でもちゃんと働いた—という確認です。
ARIって何に役立つの?
治療の見える化:治療前後やリハビリ中の変化を数値で共有しやすくなります。
遠隔でも追える:スマホ録音など、同じ手順で定量評価できれば、通院間隔があいても経過をチェックしやすくなります。
説明がわかりやすい:主観だけでなく、「今日は○点改善」とお伝えできるのは安心材料になります。
※数値は診察・内視鏡など総合評価の補助です。
実は…先行研究は Nature Portfolio 系にも
今回のドイツ語検証は「ARIの使いどころを広げる」ステップです。
その前段として、声の“粗さ”に関わるサブハーモニクス(異常な倍音構造)を丁寧に拾うアルゴリズムを作り、複数の音響指標を統合して ARI を作った基礎研究は、Nature Portfolio の npj Digital Medicine に院長の論文が掲載されています。臨床家の耳による評価と高い一致を示したことが評価されました。 (Nature)
クリニックでの活用
外来で「短時間で測れる」「患者さんと一緒に数値で示せる」形に落とし込み、日々の診療へ還元していきます。
声やのどでお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。検査結果は画面で一緒にわかりやすくご説明します。
論文情報(引用)
Cross-Validation of the Acoustic Roughness Index in German. Journal of Voice(オンライン先行, 2025). Elsevier/ScienceDirect. (サイエンスダイレクト)
A multivariate model incorporating subharmonic measurements for evaluating vocal roughness. npj Digital Medicine(Nature Portfolio, 2025). (Nature)
記事監修

Itsuki Kitayama
大阪あわじ駅前クリニック 院長・医学博士
北山 一樹
医学博士(大阪大学)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 認定専門医・指導医
日本アレルギー学会 認定専門医
日本喘息学会 認定専門医
日本音声言語医学会 音声言語認定医
大学病院・基幹病院にて小児から成人、一般的な耳鼻咽喉科疾患から悪性疾患まで幅広い診療を担当。外来・手術・研究の総合的な経験を有する。
音声の研究では、“粗ぞう性嗄声(ガラガラ声)”の音響学的なメカニズムとその発声機構を世界で初めて解明し、学術報告を行う。
また、難しくなりがちな医療情報をわかりやすく伝えることを目指し、医学専門デザイン事業STUDIO BIUMを運営。学会・医療機関のロゴ・配布資料・Webサイトなど、一貫した“わかりやすさ”を設計している。
学術実績など





